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2023大阪・統一地方選3つの焦点 維新の議会独占を止める

 大阪は、4月9日に大阪府知事選・大阪市長選・大阪府議選・大阪市議選・堺市議選の5つの選挙が同時に行われます。
 大阪へのカジノ誘致の是非とともに、落ち込んでいる大阪経済の発展やコロナ禍で脆弱性が明らかとなった医療や公衆衛生の立て直しが問われています。焦点はどこにあるのでしょうか。

焦点①大阪ダブル選
維新票を引き剥がし、チャンスを見出すたたかい

 知事選には、維新の吉村洋文氏と無所属の辰巳孝太郎氏、無所属の谷口真由美氏が、大阪市長選には、維新の横山英幸氏と無所属の北野妙子氏が出馬を表明しています。また、他にも出馬を検討している陣営があります。
 2015、2019年と2度の知事・市長選は、自民党が擁立した無所属候補を維新以外の各党が支援する形でしたが、連携がうまくいかずに「野合」批判を浴び、いずれも敗北する結果となっています。
 2020年に行われた大阪市廃止を問う住民投票で、政党間の連携はありませんでしたが、各団体や個人が多彩な立場で反対を訴えて大阪市存続を勝ち取ったように、今回は辰巳さんと谷口さん、北野さんがそれぞれの視点から維新政治の問題を語り、吉村・横山票を引き剥がすことでチャンスを見出すたたかいとなりそうです。
 こうした構図の中で、これまで以上に重要度が増しているのが議員選挙です。

焦点②大阪市議選
維新の過半数を阻止し、吉村代表辞任に追い込むたたかい


 維新が今回の統一地方選でもっとも重視しているのが大阪市会での過半数獲得です。維新は、2011年、2015年、2019年と3度の大阪市議選で第一党を獲得してきましたが、過半数を得ることはありませんでした。このため、大阪市廃止を問う2度の住民投票は、公明党の協力を得なければ実施することができなかったのです。
 吉村氏は、「実現できなければ代表を辞任する」と進退を明言し、大阪市議選に過去最多の候補者を擁立することを発表し、定数81のうち過半数となる41議席以上の獲得に執念を燃やしています。
 例えば、維新が候補者を増やした淀川区、東淀川区、城東区は、維新候補の前回選挙での総得票を維持するだけで他党派を落とし、議席を得ることが起こりえます。

大阪市議選 淀川区のシミュレーション
維新は今回3人を擁立するが、前回得票を維持すれば3/5の議席を得る計算になる。

 では、もし大阪市会で維新が過半数を取るとどういうことが起こるでしょうか。大阪市長選に立候補を予定している横山英幸氏は、2月2日に開いたタウンミーティングで、参加者からの質問に応える形で、「僕ら都構想の看板は下ろしていません」「しっかり虎視眈々と狙いつつ、吉村さんも選挙の結果で心変わりするかもしれないので、しっかり維新としても大阪の成長を、都構想含めてしっかり頑張っていきたい」と語っています。
 政治状況によって、3度目となる大阪市廃止を問う住民投票を仕掛けてくることは間違いないといえるでしょう。
 また2011年に大阪府議会で過半数を得て強行したように、議員定数の大幅削減を実行し、対抗勢力が二度と浮上できない仕組みづくりが行われることも十分考えられます。今回の議員選挙の結果によっては、維新市政の転換を願う市民がその術を失う危険性さえあるのです。
 逆に維新過半数を阻止できれば、吉村氏は代表を辞任せざるをえなくなり、維新は政治的に大きなダメージを受けることになります。維新の「顔」である吉村氏を辞任に追い込むことは、今後の大阪の転換にとって重要な意味を持ちます。

焦点③大阪府議選
カジノ推進派による全議席独占を阻止するたたかい

 大阪府議会はどうでしょうか。2011年に議員定数が21削減され、88議席となった大阪府議会は、2011年に206人の立候補者がいましたが、2015年は182人、2019年は146人と選挙を経るたびに政治に挑戦する人が大きく減少してきました。
 特に影響を受けたのは「大阪都」構想やカジノ誘致に反対してきた中小政党で、2011年には民主党10議席、共産党4議席を維持していたのが、2019年には立憲民主系会派2議席、共産2議席まで激減しています。19年には全議席の15%に当たる8選挙区13人が無投票当選となり、女性議員は議会の6.9%、わずか8人しかいません(全国36位)。
 議員定数の大幅削減で、大阪府議会はチェック機能が働かない状態です。隣の京都府議会は、2020年以降コロナ対策のための補正予算を審議する臨時議会を7回開き、内容をチェックしてきたのに対し、大阪府議会は議会を開かず、知事の専決処分で決めることが常態になっています。カジノの是非を問う住民投票実施を求める21万人もの署名が大阪府議会に提出されましたが、維新などの反対で実施は見送られています。
 ただでさえ、機能していない大阪府議会の中で、カジノ誘致計画に賛成する維新、公明、自民の大阪府議団は、さらに議員定数を79に削減することを昨年強行しました。これによって、カジノに反対する会派は窮地に追い込まれています。前回の得票のままでは、世論調査で多数が反対している大阪カジノの民意を反映する議員が大阪府議会にいなくなってしまう危険が生じているのです。

大阪府議選 吹田市のシミュレーション
定数削減のため前回最下位当選の候補が締め出される。

私たちに何ができるか
前回選挙での下位当選者への支援に全力を

 維新政治を転換していく足がかりが得られるかどうか、この統一地方選が大阪の人にとっては正念場になることは間違いありません。私たちにできることはなんでしょうか。それは前回下位で当選していた非維新議員の支援に全力を挙げることです。
 選挙は住民投票に比べれば規制がありますが、街頭宣伝、寄付、ポスティングなど、住民にできることはいくらでもあります。具体的にどんな支援が求められているのかは、各陣営の事務所に問い合わせてみましょう。どの陣営もあなたの力を求めているはずです。「誰を支援したらいいかわからない」という方は下の一覧を参考にしてください。

前回選挙との比較でプッシュが必要な選挙区と候補予定者一覧

〔大阪市議選〕
淀川区(定数5)=みなと隆介(共・新)
東淀川区(定数5)=長岡ゆりこ(共・現)
城東区(定数4)=山中智子(共・現)

〔現在の状況〕
いずれの選挙区も前回は最下位当選。維新が候補者を増やしているため、前回の得票のままだと議席を奪われる危険性がある。
※淀川区は前回当選した現職から新人に交代。

〔大阪府議選〕
枚方(定数4)=山田けんた(立・現)
東大阪(定数4)=うち海公仁(共・現)
吹田(定数3)=石川たえ(共・現)
茨木(定数3)=長崎由美子(社・新)
高槻(定数3)=野々上愛(立・現)

〔現在の状況〕
枚方と高槻は、維新がもう一人候補を立てると、前回の得票で当選は困難になる。
東大阪と吹田は定数削減のため、前回と同じ順位だと議席を失う。

※茨木は現職区ではないが、前回府議選の社民推薦候補と共産候補の票を合同すれば、議席に届く可能性があるためリストに入れた(今回は共産候補不出馬)。

大阪府議選 茨木市のシミュレーション
市民が要望し、野党候補が一本化し、激戦に。
※候補者は大椿ゆうこ氏が参議院に繰り上げ当選したため、長崎由美子氏に交代。


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