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シュミンケホラダムが20種類の緑を持つ理由 2/2

メイグリーン (May Green)画像1
シュミンケのベストセラーのうちのひとつ。混色にも便利で簡単に混色で作れる色なのに、たくさんの画家が使うということは、商品を買う方が妥当であるという意味だ。
伝統的な明るく黄色味がかった緑で、いくつかの緑を混ぜるのに理想的で風景画に推奨される。同様にパーマネントグリーン(①に記載あり)はレモン色のトーンで、そのままで使うと明るく現代的な作品に適している。
太陽に照らされた淵を造作なく作ることができる。
半透明な緑で、耐光性のあるPY151 ベンズイミダゾロンイエローとPG7 フタロシアニングリーンの2つで作られている。

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コバルトグリーンピュア (Cobalt Green Pure)画像2

不透明で非常に耐光性が高く、粒子感を持った緑。本物のコバルト顔料PG19 コバルト-アルミニウム-チタン-ニッケル-亜鉛酸化物の単一顔料である。
定着力はかなり低く、わずかに粗いテクスチャを持っている。有機または金属の黄色とよく混ざるが、白っぽいエッジがあり混色に制限がかかってしまう。明るさを保つためにカドミウムなどで希釈させると良いが、それでも分離はしてしまう。
コバルトグリーンは特別簡単に扱えるものではないが、アースグリーンで黄色やアースレッドの補色を作ることができ、ポール・シニャックの作品のように素敵なブルーグリーンとしてそのまま使用もできる。

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コバルトグリーンダーク (Cobalt Green Dark)画像3

コバルトグリーンダークは深く、不透明で非常に高い耐光性、粒子感を持ったほどよく暗い緑だ。
薄めても彩度は上がらないが、色の飽和がわずかに減り、画面が明るくなる。空や海の描画に最適で、繊細な色の輝きを出す。
またキナクリドンを使用すると目に見えて素早く分離をし、綺麗なまだら模様を作ることもできる。
本物のコバルト顔料であるPG29 スピネル系コバルト クロム酸化物の単一顔料である。

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フーカスグリーン (Hooker’s Green)画像4

フーカスグリーンは18世紀に植物画家のウィリアム・フーカー(1779-1832)がリーフグリーンを描くために考え出した伝統的な色だ。非耐光性の雌黄色のゴム、プルシャンブルーとインディゴの一部を、PB15.3 フタロシアニン、PG7 フタロシアニングリーンとPY42 水和酸化鉄に置き換えている。
暗く鈍い黄緑色をしている。他ブランドの同じ名前のフーカスグリーンよりも暗く、オリジナル色に近い色になっている。
乾燥すると明るくなり、彩度が低くなるため、色調の変化には注意が必要だ。簡単に暖かくも冷たくもできる中間の緑をしている。

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オリーブグリーン (Olive Green)画像5

中性の半不透明なオリーブグリーンは優れた混合特性を持っている。風景画に必要ないくつかの緑を混合する重要な基本トーンだ。作品に遠近感を出し、さまざまな色調に簡単に調整ができる。PB15 フタロシアニンブルーとPG8 金属複合物でできている。
オリーブグリーンは簡単な色だが、自身で作るとなると3色で混合する必要があるため、商品を持っている方が時間を短縮できる。

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クロミウムオキサイドグリーン (Chromium Oxide Green)画像6

この鈍く不透明な緑は、非常に高い着色力を持つ。風景画に最適で、PG17 酸化クロムグリーンの単一顔料だ。もともとは19世紀半ばに有毒な銅色の代替品として使われた。
多くの場合、風景画家がベースの色として使う。少量の白と混ぜたとき、スモーキーな灰色のオリーブグリーンができる。バンダイク ブラウンやバーンとアンバーと一緒にすると、影色にも同様に適する。補色を使った領域の周りは「明るく」できるが、人によっては暖かな色味を出すのが難しく、ビリジアンやフタロをベースにしたものよりも更に灰色がかった緑になってしまう。ただし、風景画で「自然」に見える場所には好まれる。

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オリーブグリーンイエローウィッシュ (Olive Green Yellowish)画像7

この伝統的な黄緑色は風景画に人気があるため売れている。PO62 ベンズイミダゾロンとPG36 フタロシアニングリーンの顔料のおかげで非常に耐光性が高く、半透明である。
補完色である赤や紫と上手く組み合わせることができ、ネイビーやライトグレイの隣りに置くことでまとまりも出る。また人工的な黄色と混ぜることで風景画に更に調和をとることができる。

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グリーンアース (Green Earth)画像8

この伝統的なとても明るい緑は半透明であまり強くない。よって、ポートレートなどの肌色のトーンダウンに最適だ。ポートレートの7顔面や陰影の表現に使える。
黄色の色調を持つ暖かな緑色をしている。繊細な色のため、画面の調和を崩すことはほとんどない。
耐光性が高く、本物のアースピグメントであるPBr7とPG7 フタロシアニングリーンでできている。

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トランスペアレントグリーンゴールド(Transparent Green Gold)
画像9この透明で黄色味がかったライトグリーンは、PY129で作られ製造中止となったグリーンイエローの単一顔料の代わりに2017年に追加された。
マストーンは洗い出しで現れる明るく繊細なアンダートーンよりも、茶色の境界がはるかに深いため用途が広い。
この明るい色は濃い洗い出し、暖かく乾燥した草のハイライトや描写に最適だ。
ターコイズできれいに相殺し、秋の影に変更ができる。
耐光性が高く、PY154 ベンズイミダゾロンとアースピグメントのPBr7の組み合わせだ。

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ペリレングリーン (Perylene Green)画像10

全ての緑の中で一番暗い色で、2017年にシュミンケホラダムシリーズに追加された。
ペリレングリーンは不透明で耐光性が高く、非常に濃いブラックグリーンだ。水彩画家はシャドーカラーとして高く評価している。深い通路やふさぎ込んだ雰囲気を描写するのに最適である。
マストーン(絵の具そのままの色)はほぼ黒だが、柔らかなグレイグリーンとして使える。これは都市の景観に色調と面白い要素を加えることができる。
この単一顔料には1950年代後半に使用可能になったPBk31ペリレンが含まれている。

シュミンケホラダムの水彩商品ページ
(JacksonsArt の通販ページに繋がります)

水彩顔料についての詳しい情報は 
the handprint website
(外部の英語サイト)

原文 WHY SCHMINCKE HORADAM HAVE 20 DIFFERENT GREEN WATERCOLOURS
https://www.jacksonsart.com/blog/2019/05/24/different-green-watercolour-colours-compared/

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