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昭和生まれ平成育ちのドアノブをガシガシ開けようとしてくる令和ニューノーマル

散切り頭を叩いてみれば文明開化の音がする、とは明治5年に福沢諭吉が言った言葉だ。いまわたしの働き方は、中国を発信源とする?世界的な感染病の流行を契機に広まった新常態(にゅうのおまる)により、驚くべき速さと威力でその様相を変えている。

2019年頃のわたしは言っていた。「通勤のない働き方がそろそろ来るべき」と。数年後にその思い描いた未来の方からどしどしと足音を立てて迫ってくるとはつゆ知らず。

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2021年5月も最後の日。

いつも通り朝9時に起床し、眠たい目をこすりながらテーブルの上のパソコンに電源をいれる。今日も10時から韓国とZOOM会議だ。画面に映し出される20人ほどの日本人と韓国人。

バーチャル背景をモダンな邸宅の画像に設定した日本側社員が新しいITサービスについて熱く説明する。

「つまりこういうことです。サードパーティーからの流入をセントラルDBに格納して…おんぎゃあおんぎゃあおんぎゃあ!…ユーザーからしたらアクセスの方向は一元化されるように見えますが…おんぎゃあおんぎゃあおんぎゃあ…内部ではファーストパーティとサードパーティは別制御する座組みになっていて…」

モダンな邸宅のどこかから鳴り響く赤ん坊の泣き声。それを一生懸命書き消そうとマイクのボリュームを上げて真剣に話し続ける彼。しかし画面の中の誰しもが思った。説明が一切頭に入ってこない、と。画面越しに共有されているのは新しいITサービスなんかじゃなく彼が生まれたての赤ちゃんをもつ父親であったという新情報だった。

「すみません」とその彼は困った顔を浮かべて画面から立ち去ったが、しばらくして戻ってきた彼の腕の中には髪の毛も生えていない赤ん坊がすっぽりと収まっていた。

齢わずかにしてZOOM会議に参加する赤ちゃん。デジタルネイティブはこうして育つのか。

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いまGoogleやFacebookはこぞってバーチャルリアリティーディバイスを開発しているという。VRグラスをかけると世界各所にいるメンバーが仮想空間で一堂に会したりできる未来を開発しているらしい。

「はい僕が未来ですよ」と現在に突如現れた未来に日々驚きながら人間を適応させている気分だ。


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