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カレル・チャペック『白い病』

本作品は1937年に刊行されました。

作者のチャペックはきっと焦って、あっという間に書いたのでしょう。

読者はこの作品をそれよりもすばやく、あっという間に読み終えます。

「白い病」は雪崩のような「パンデミック」を引き起こします。私たちも体験しました。とはいえこの時代にはもっと恐ろしい話として描き出されています。

そこに漫画の主人公のような「希望の光」が登場します。名はガレーン博士といいます。

ガレーン博士は病気を治す特効薬を発見したと主張します。それが本当なら医師としてすべての患者を治療すべきです。

しかし彼はそれを拒否し、治療に「条件」を持ち出すのです。言うまでもなく周りの人々は、とくに医師は彼を嫌悪し、ごうごうたる非難を浴びせます。

最後はついに独裁者である国家元首までが登場し、ガレーン博士を逮捕して拷問にかけるとまで詰め寄ります。

ここのところで「白い病」という作品の主張が明らかになります。作者は1937年のチェコスロバキアとナチス・ドイツに訴えているのです。