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幸せな恋だった

※前回の記事でねこくんに関する話は書かないと言いましたが、もうねこくんとも書かないし、多分これで最後です。

かつての彼と共通のお友達と電話で話す機会があった。

彼の話題になった時、

「私がいなくても、彼には彼なりに幸せになってほしい」

と、言葉がこぼれた。

電話をきって、私は彼の家に置いた荷物のことを思い出していた。

お別れして余裕のなかった頃、会える気もしてなかったので
「捨ててほしい」
と頼んだ荷物。

彼のことだから、絶対捨てられていないと思った。

私から切り出したことだったけれど、
私だって悩んで、苦しんで、何も食べられなくなってしまうくらいにしんどかったのだから

きっと彼も私と同じかそれ以上にしんどいはずだ、と思った。

「お互いがちゃんと前を向いていくためにも、私が荷物を取りに行かなきゃ」

そう思って、思い切って連絡を取ると案の定荷物はあるという。

彼の心の整理がつくまで待った方が良いかなどと少し迷ったが、取りに行った。

彼は私と同じように痩せていた。
泣いた跡のようなものもあるように見えた。


でも、それを心配するのはもう私の役目じゃない

笑顔で、
「今までありがとう」
と、まとめてくれた荷物を玄関で私に渡した。

本当に、お別れだ。

最後なんて言おうか、私は一つ確信して言えることしか言えなかった。

「ちゃんと、好きだったよ」

* * *

付き合っていた最後の方は、よく分からなくなっていたけれど

すごく大切にされていたと思う。
そして、
私も私なりに彼を大切にしていたのだと、気付いた。

人なんて結局他人同士なのに、

偶然出会って、お付き合いをはじめて、お互いを大切にできたことは

幸せ

以外の言葉が見つからないくらいに

幸せなことだった


きっと、目には見えないけど
私の宝物になったんだと思う。


これで、彼とのお話は終わり。

だけど

願う


「いつも笑顔で」

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