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「あ、ジョーさんですか?"ゆとり会"で今度飲みましょう」

前回、秋平初期の巻き返しについて語ろうと思ったら「やっぱり…」な結末しか書けなかった。詳しくはこちら。

今日は僕の、インドでのプライベートについて話そうと思う。

日本にいた時は毎日のように飲み会。飲み会に次ぐ飲み会で、少しばかりだが戴いていた作家のお給料は全てお酒に消えていた。気心知れた仲間と馬鹿話してる時間が大好きだった。普段のご飯は基本的に先輩方にご馳走してもらって、日本での極貧生活は生き長らえていた、と言っても過言ではない。ちなみに僕が住んでいたシェアハウスは幡ヶ谷駅徒歩2分で家賃4万円でお釣りが来ていた。安い。また住みたい。

そんな飲み会大好きの僕は、インドに来て物足りなさを感じ始めていた。飲み会が皆無だったからだ。毎晩社長と拓と3人で、自宅でビールを飲みながら反省会をやっていた。早い時には30分くらいで社長は寝てしまうので、拓と2人で飲むことになるのだが。「お酒を飲む」というと、それくらいだった。

2015年10月某日。とある飲み会の誘いが入った。「ゆとり会」という会らしい。どうやらチェンナイ在住の“平成生まれ”が集まる会らしい。僕は平成2年生まれなので、必然的にほとんどが後輩、というか年下の集まりになる。

そういえば、秋平オープンして数日後に若者が4人組くらいで来店し、

「あ、ジョーさんですか?僕ら"ゆとり会"なので今度飲みましょう」

みたいなことを言われたのを思い出した。ということで初めて参加してみた。

場所は“ニューソウル”と言って、韓国料理屋さん。大体韓国料理屋はイリーガルでお酒を出している。こちらからしたらお酒が飲めるんだからありがたい限りだ。

行ってみるとかなりの人数。全部で12人くらい集まっていた。

東大出身の人、大手ゼネコン勤務の若手、大手商社マン、補習校の先生、外務省からの派遣で日本国総領事館で働く同い年の女子、現地採用で働く男の子や女の子、海外青年協力隊でチェンナイの山奥に住む女の子、19歳から3年間インドに住む女の子、チェンナイの大学院に通いタミル語ペラペラの女の子。そしてインドでラーメン屋の僕。インドに来なければ出会うことのなかった人種の人々ばかり。女の子の方が、チェンナイにいる理由にパンチが効いてるのは気のせいでは無いと思う。

ここから一年くらいは彼らに精神的な面で支えられることとなる。

やはり日本とは色々と勝手の違うインドという国。生活していて分からないことがたくさんある。そういう時に気軽に聞ける仲間ができたことは相当なアドバンテージだった。誰か新しい人が来たら歓迎会。帰任が決まった人には送別会。

今となって思うことだが、ここ、チェンナイという地で出会った仲間とは、何か特別なものを感じる。同じタイミングで、ましてや日本とかニューヨークとかではなく、チェンナイという地でわざわざ出会ったことに、意味や意義を感じぜざるを得ない。

兎にも角にも、僕の大好きな飲み会が定期的に開催されることが何より嬉しかった。

T君とは、T君宅で二人で飲むことが多かった。ペットボトルに水を凍らせてそこにウィスキーを注ぐ。ウィスキーが薄くなったらすぐに追加する「無限氷」で延々飲み明かした。

Oさんはよく店に来てくれた。ゆとり会のメンバーの中で一番来てくれたと思う。ご飯を食べた後も、毎回小一時間は世間話や将来の話をしていた。僕にはない考えをたくさん持っている人だった。日本に帰ってからも僕の活動を応援、支援してくれている。一個上とは思えないくらい考え方が大人で、とてもいい先輩だった。

Jくんは大学卒業してすぐに大手ゼネコンに就職し、安定への道をまっしぐらだった。同い年でお互い喫煙者だったということもあり、二人で話す機会が多かった。

彼らは僕を「羨ましい」と言った。僕なんか、好きなことをやりたい!という思いが強すぎるがために25歳でも貯金はゼロ。将来の保証もなければ彼女もナシ。そんな僕から見たら、彼らは給料も充分に貰っているし、こんな過酷な地で若い時から会社のために働いていれば出世街道まっしぐらってもんだ。「羨ましい」はこっちのセリフだ。

隣の芝は青く見えナンチャラとはよく言うが、まさにそう言うことなのかなとも思った。だけどさらに強く思ったのは「みんなそれぞれ、自分にしか歩めない人生を歩んでいる。自分を信じて行けるところまで行くべきなんだ」と言うことだった。

そんなことを意識し始めてから、僕の独自の行動に拍車がかかったのは言うまでもないと思う。

当時いたメンバーで残っているのは、僕と、あと一人である。

海外での日本人のお友達づくりは、ここが寂しいところだ。


みんな元気にしてるかな。

俺はこの通り、元気だよ



See you next No Joke...









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