マガジンのカバー画像

二十四節気/ローカル七十二候マラソン

38
運営しているクリエイター

#ローカル七十二候マラソン

自然のこと76 | 穀物に贈る恵みの雨と天狗の岩。

自然のこと76 | 穀物に贈る恵みの雨と天狗の岩。

六甲山の最高峰は標高931mに達し、神戸市の西から北にかけて広がる六甲山系全体を指します。この六甲山系には大小さまざまな磐座が点在し、東西南北を指し示す巨石が多く見られます。また古代文明を紐解く知識の痕跡が各所に見られ、そのひとつには楢崎皐月がタカムナ文献を書写したとされる金鳥山も含まれます。六甲山の頂上からは、神戸市を東から西まで一望でき、大阪や泉南、淡路島までが眼前に広がり、地元の方や登山家に

もっとみる
自然のこと75 | 清明。彩る雨と。

自然のこと75 | 清明。彩る雨と。

奈良県橿原市に位置する藤原宮跡。694年から710年にかけて、日本初の都城として、天皇の住まいや官庁が置かれた場所である。現在では、その跡地が整備され、広大な敷地内には春には250万本もの菜の花や桜が咲き誇り、夏には蓮の花が咲き、秋にはコスモスが彩りを添える花々の楽園です。 四季折々の美しさが広がるこの場所で撮影する機会に恵まれました。

雨がぱらつく中での撮影でしたが、菜の花や桜の花々がしっとり

もっとみる
自然のこと74 | 春分。135度線上の楽園パラオ。

自然のこと74 | 春分。135度線上の楽園パラオ。

東経134〜135度線上に位置する、南太平洋に浮かぶパラオ共和国は「ミクロネシアの箱庭」と称されほど美しい島国です。350ほどの島々から成る国ですが、人が住んでいるのは9島で全人口は18,000人ほど。日本からは不定期ではありますが直行便も出ており、4時間半ほどで到着することができます。

1919年、第一次世界大戦後「パリ講和会議」により、パラオは日本の委任統治領となりました。日本はパラオの発展

もっとみる
自然のこと66 | 小雪。界と峠の境に通ずる。

自然のこと66 | 小雪。界と峠の境に通ずる。

碓氷峠の展望台は、長野県と群馬県の境(上信国境)に位置します。明けの明星が、舞台開幕を待つ私の心模様を映しているような夜明けです。徐々に明るみ、上州三山(赤城山・榛名山・妙義山)、日光連山(男体山、女峰山、大小・真名子山、赤薙山、帝釈山、太郎山などから成り、最高地点は奥日光の奥白根)、浅間山や八ヶ岳連峰(長野県諏訪地域・佐久地域と山梨県にまたがる山塊が姿を表し始めます。編笠山、西岳、権現岳、阿弥陀

もっとみる
自然のこと64 | 霜降。傾斜つく陰の落ち始め。

自然のこと64 | 霜降。傾斜つく陰の落ち始め。

埼玉県秩父市にある全長3.3kmにも及ぶ秩父ミューズパーク。地質の違いが地形に反映された秩父の山々を背景に秩父市街地を一望できる展望台にて撮影しました。遠目の高い山々が高位段丘(尾田蒔丘陵)、一段下に陰で山々の流線がわかるのが中位段丘(羊山丘陵)、盆地の低位段丘(市街地)、市街地にも小さな段丘を一度に見られるのが特徴で、遠く広がる山々の流線が秩父盆地に彩りを添えています。この場所からの眺めは、まる

もっとみる
自然のこと57 | 小暑。蓮と弁天、竹生と不忍の親和。

自然のこと57 | 小暑。蓮と弁天、竹生と不忍の親和。

東京都上野にある不忍池。周囲2kmに渡る大きさを誇り、1625年(寛永2年)に、東叡山寛永寺が上野に建立された際、寛永寺を比叡山延暦寺へ、不忍池を琵琶湖へと見立て、竹生島を模した小島を築いて不忍池辨天堂を建立し弁財天を祀り、琵琶湖の中の竹生島と同じ配置を再現したといいます。夏の風物詩として毎年優雅に咲き誇る蓮の花を見ることができます。

Nature Good Modeとしては、初の東京都内での撮

もっとみる
自然のこと56 | 夏至。風と亀と緑。

自然のこと56 | 夏至。風と亀と緑。

奈良県宇陀郡にある曽爾高原のお亀池。亀山中腹にあり、地質学的にはっきりとした起源がないため、特殊な浸食によってできたと考えられます。池の水は雨水と山からの伏流水によって蓄えられ、「曽爾高原湧水群」の源となっています。湿地には特徴的な植物が多く見られ、この池には以下の伝説も残っています。太良路村に嫁いできた美しいお亀は、井戸の水鏡で化粧をしていました。その井戸は深く、亀山の池からの水が供給されていま

もっとみる
自然のこと54 | 小満。霧の劇場。龍の道筋

自然のこと54 | 小満。霧の劇場。龍の道筋

山形県村山郡大江町左沢(あてらざわ)にある楯山公園展望台は、最上川の雄大な流れと左沢の街並みを一望できます。ここからは、東に広がる村山盆地、西にそびえる朝日連峰、南には蔵王、1時間に一本のペースで、一両から二両の可愛らしい左沢線の電車を一望することができ、全長224kmある最上川の中でも絶景とされ、カメラマンも多数訪れるなど、その眺望は息を呑む程です。

今年の小満は、霧の劇場でした。深夜にぐっと

もっとみる
自然のこと52 | 穀雨。多様な鳥の声帯。

自然のこと52 | 穀雨。多様な鳥の声帯。

群馬県高崎市にある鳴沢湖にて撮影しました。鳴沢湖は、農業用水の貯水池として1950年に完成した人造湖で、隣接する野鳥公園との共生で、多種多様な野鳥たちが訪れます。映像の冒頭では、梟 (ふくろう)の声も伺えます。

Nature Good Modeは、2021年の「穀雨」から地球暦とのコラボレーション企画として始まり、お陰さまで2周年を迎えることができました。この二年という月日は、火星が太陽の周りを

もっとみる
自然のこと51 | 晴明。妙義山の夜明け

自然のこと51 | 晴明。妙義山の夜明け

群馬県安中市にある後閑城址公園より撮影です。

桜の季節も終盤に差し掛かり、春の一幕を撮影すべく、撮影の方角は西向きになりますが、朝陽に焼ける妙義山はとても美しいに違いないと、こちらの公園を選びました。桜とともに俯瞰して眺める妙義山の鋭さとともに、ひと月前までぐぜりだった鳥たちの囀りも、立派な声で歌い上げるほどに成長していて、その伸びやかで艶やかな声を聞きながら、春から初夏への移いを心ゆくまで感じ

もっとみる
自然のこと47 | 立春。筑波山と関東平野。

自然のこと47 | 立春。筑波山と関東平野。

茨城県富谷にある富谷山ふれあい公園展望台より撮影。眼下に広がる岩瀬盆地は、関東平野の一部で約260万年前の地層。約13万〜12万年前の海水面が高い時に時期には海が入り込んでいたという。盆地にはその時期に積もった砂、泥などの地層が分布しおり、盆地を取り巻く山々は、約8000万〜6000万年前に、マグマが冷えて固まった岩石や、約15000万年前に海底で積もった砂、泥が固まった岩石などで出来たという。

もっとみる
自然のこと45 | 小寒。銀と金の淡い世界。

自然のこと45 | 小寒。銀と金の淡い世界。

山形県寒河江市の畑広がる公道脇より撮影。奥羽山脈と出羽山地に挟まれた南北に長い山形盆地の西側にあたる寒河江市。盆地の中心部に最上川が流れ、雪がない季節だと一面に広大な畑が広がる。
豪雪地帯で雪は多いものの、田畑に甚大な被害をもたらす台風もほとんどなく自然災害はとても少ない地域だという。平安時代から修験の山として知られる葉山(標高1462メートル)は、かつて出羽三山のひとつであり霊峰と名高い。ほかに

もっとみる
自然のこと44 | 冬至。銀灰世界。

自然のこと44 | 冬至。銀灰世界。

兵庫県六甲山にある天狗岩、本来ならばこのスポットは、神戸を東から西までパノラマに一望でき、大阪、泉南、淡路島まで見渡せる絶景ポイントとして登山家やトレッキングを愛する方々に愛されている景勝地である。しかし冬至の日は、前日の夜から雨が降り続いていて六甲山の中腹から頂上にかけて厚い雲が覆っていた。眼下に神戸一体が見渡せる絶景があるなど信じられないほど濃い雲に包まれた環境は、見渡す限りの視界はホワイトア

もっとみる
自然のこと42 | 小雪、朽葉四十八色

自然のこと42 | 小雪、朽葉四十八色

山の方では紅葉の時期も終盤で、地面は朽葉四十八色はあろうかという落葉で埋め尽くされている。ここひと月はほとんど雨が降らなかったこともあり、落葉は歩く度にパリパリと乾いた音を立て秋の終わりを盛り立てている。富士山はとっくに冬化粧を済ませ下界の紅葉を楽しんでいるようだ。秋から冬の移ろいは、絵描きの仕事を逆再生で見ているようで面白い。冬はもうすぐそこで気配を忍ばせている。あと二節ほども動けば、この座標に

もっとみる