「三度の飯よりお好きですか?」

引き続きJANOG48です。
素晴らしいご発表に触れて私の中でつねづね考えている多くの分野に刺激をいただきました。
あまりにも自分とかけ離れた高みにあるひとを見た時に、それを「天才」などと安易に括って思考停止してしまいがちなのですが(苦笑)、ここはしっかり考えていきたいところです。

まず、すぐに感じたのは「おそらく、そうとう考えつくしたんだろう」ということです。隅々まで「理由」があります。だから、まぁご発表に関わる範囲にあってはどんな質問があっても「どうしてそうなのか、そうじゃなければどうなのか。その質問の適切な回答はこう」とすぐに回答できるのでしょう。発表をはじめて聞く程度の私には一分の隙もないように感じました。

そして、発表も回答も「立て板に水」なのです。
最初、ご発表は原稿を読んでいるのかと思っていました。途中で言い間違えの言い直す場面があってそのときに原稿はなくて発表資料に基づいたアドリブなんだと気づきました。アドリブだとは思えない簡潔さと情報密度と滑らかさです。おそろしい。

なにより、このシステムは「手を着けられそうな小さな見通しの良い処理」をステップバイステップで作成して寄せ集めれば作れる、というたぐいのものではなくて、まず「最初から最後まで、ユニットの連携を見通して、矛盾や欠陥がないこと」を担保してからじゃないとユニットの実装ができない、と思われます。「宣言的」「疎結合」と定義されたユニットは、とはいえそれぞれが十分に高度で複雑です(まぁだから宣言的で疎結合じゃなければとてもとても実装できないのですけれど)。そうした設計思想は k8s のそれに強く影響を受けていることは察せられますが、それにしてもこの構想力はすばらしい。ここまでの業績を簡単にご紹介いただいたけれど、その過程でトライアンドエラーを繰り返して、いまは無駄なく効率的な「概念設計」の方法論を見つけ出されたのかな、と思いました。

いずれも言うのは簡単なのですが、隅々まで考察・比較検討を行き届かせることも、それを適切に無駄なく言語化するために語彙を選び文章を組み立てることも、また、破綻のない一貫性のあるシステムシナリオをまだ見ぬ段階から構成することも、とてもとても集中力や労力を必要とすることでしょう。そういうところには若くて体力があっていいなぁということはあるのかもしれませんが(笑)、どうしてそんなにやれるのですか、やっぱり寝食を忘れるほどこの仕事が好きですか、この仕事の成果を見るのが楽しみですか。
「人材」「育成」という観点からとても興味を持ちました。質疑応答で聞いてみればよかった。

いやいや、感心してばかりいないでもう一度わが身を振り返ってしっかりとやっていかなければ。

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