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『安倍晋三回顧録』に森友問題に関する虚偽記載があったので、中央公論新社さんに教えてあげました。

タイトルの通り、『安倍晋三回顧録』に事実と大幅にことなる記述内容があったので、版元の中央公論新社さんにお手紙を出して、教えてあげましたよというお話です。

問題の記述は、『安倍晋三回顧録』P252の以下の文章です。

(森友学園の籠池泰典元理事長の)息子さんが、私や昭恵との100万円授受を否定しています。この話が虚偽だったことは明確でしょう。

『安倍晋三回顧録』

この記述は、籠池泰典氏の息子である籠池佳茂氏が、安倍晋三さんや安倍昭恵さんとの100万円授受の話を否定したので、100万円の授受は虚偽だったと、安倍晋三さんが断定しているとしか、読み取りようがありません。

しかし、現実は、安倍晋三さんの理解とは裏腹に、籠池佳茂氏が「100万円授受」に関して「否定」する発言をした事実そのものがないのです。籠池佳茂氏の発言や書籍での記述は、「父親である籠池泰典が『100万円授受』についてメディアに発表したのは、菅野完の指示があったから」という内容です。そして籠池佳茂氏のその発言も、裁判の中で真実性がないと断定されてしまっています。

つまり、上記引用の安倍晋三さんの発言は、完全なる妄想の産物であり、事実と大幅に乖離した虚偽の内容です。

でも不思議ですよねー。森羅万象を担当していたはずの安倍晋三さんが、嘘をついたり事実と乖離したことを言うなんてありえないじゃないですかー。

それに、『安倍晋三回顧録』は、国家安全保障局長まで勤め上げた北村滋さんが、国家公務員法100条違反をものともせずに、「第一次内閣から蓄積してきた資料の提供」や「事後的な原稿のチェック」までされておられる(同書p395)書籍ですよ?安倍晋三さんが事実と乖離したことを言うはずもなく、北村さんの監修作業に抜け漏れなど発生するはずもないじゃないですかー。

でも、現実には、こうして、『安倍晋三回顧録』には、嘘っぱちの内容が書かれてしまっています。これは、編集にあたった中央公論新社のミスに違いないですよね。だって安倍さんが嘘を言うはずないじゃないですかー。

ということで、以下文面を本日、中央公論新社にレターパックにて送付しました。(追跡番号1976-4373-7362  南麻布5丁目郵便局脇ポストに本日18:30に投函)

中央公論新社に送った文面をそのまま貼り付けますので、お読みください。
投函日は本日ですが、書面日付は起案の都合上、2月20日となっています点、ご了承ください。

2023年2月20日

中央公論新社
編集部御中

著述家
菅野完

貴社出版『安倍晋三 回顧録』の虚偽記載についての通知

拝啓
時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
さて、貴社が本年2月20日付で出版された『安倍晋三 回顧録』に、虚偽記載がありましたので、通知します。
『安倍晋三 回顧録』初版(以下、「本書」といいます)の252頁には「(森友学園の籠池泰典元理事長の)息子さんが、私や昭恵との100万円授受を否定しています。この話が虚偽だったことは明確でしょう。」との記述があります。
この記述は、安倍晋三氏が「100万円授受」を「息子さんが」「否定」したことを根拠に、「虚偽だったことは明確」と断じておられると解釈するほかありません。また、「100万円の授受」に関する発言を行った籠池泰典氏の「息子」とは、籠池佳茂氏以外存在しないことから、ここでいう「息子さん」とは、籠池佳茂氏のことであると解釈せざるを得ません。
 しかし、現実には、籠池佳茂氏が「100万円の授受」を「否定」する発言をした事実はありません。むしろ同氏は自著のなかで「今となっては、それがあったかなかったかどちらでもいいような状態です。別に法的に問題があるわけではないし、むしろそれが寄付であるなら、それはそれできれいな話です。」と、「100万円の授受」は事実であるとの前提に立ったかのような記述を残しているほどです。実際の籠池佳茂氏による一連の発言の内容は「100万円授受」を「否定」するものではなく、「籠池泰典氏が100万円の授受を公表したのは菅野完の指示によるもの」という内容のものです。そしてこの籠池佳茂氏の一連の発言に関しては、当方が籠池佳茂氏を相手どって提訴した名誉毀損訴訟にて、その真実性が完全に否定されています。裁判所がどのように籠池佳茂氏の発言に関し真実性を否定したかについては本便添付の判決文をご参照ください。かいつまんで申せば、籠池佳茂氏は、自身の一連の発言の真実性に関する根拠を裁判所に証拠として提出することさえでなかったのです。また同氏がこの裁判に関して提出したその他の証拠や陳述をみても、同氏が「100万円授受」を「否定」した形跡はありません。
このように、現実は、「100万円授受」を「息子さんが」「否定」した事実そのものがなく、またその「息子さん」の発言も司法の場で真実性そのものを否定されているという、本書252頁の安倍晋三氏の発言と完全に相違するものとなっています。
従って冒頭引用した本書252頁の安倍晋三氏の発言は、事実から大きく乖離した、虚偽記載であると断ぜざるを得ません。
 なお、当方が籠池佳茂氏を相手どって提訴した名誉毀損裁判の判決は2021年8月6日に言い渡されています。本書4頁の「こうして20年10月から1回2時間のインタビューが始まり、21年10月まで18回、計36時間にわたって行われました」との記述に従えば、本書のもととなった安倍晋三氏へのインタビューがまさに佳境を迎えていた頃に判決言い渡しがあったことになります。インタビュー終了後に判決が下っているのならまだしも、インタビュー期間中に、聞き手や編集側より、安倍晋三氏に対してこの判決を元にした事実確認を行なっていないのならば、編集サイドの大きな手抜かりと言わざるを得ないでしょう。また、書籍としての読者に虚偽情報を与えないために、本件判決にて確定した事実を注釈などで添えることはできたはずです。しかしそのような事実関係に対する書籍としての配慮が一切なされていないため、読者に事実と乖離した情報を流布する形になっており、安倍晋三氏の発言の信憑性に疑義が生じているばかりか、本書記述内容が名誉毀損に問われる可能性さえ生じています。こうした観点から、すくなくとも本書252頁の当該記述箇所への注釈の付与、あるいは記述内容の補足など、読者に虚偽情報を広めない措置を講ずることを強く希望いたします。
 貴社の編集上の手抜かりにより、安倍晋三氏の発言の信憑性に疑義が生じていることは、大変残念なことです。また、本書の監修者かつ著作権者であり、本書395頁の記述によれば「第一次内閣から蓄積してきた資料の提供」や「事後的な原稿のチェック」までされておられる北村滋前国家安全保障局長の監修作業が、貴社編集上の手抜かりにより結果として虚偽を見逃すものとなってしまっていることは、由々しき事態であると考えます。北村氏は長きにわたり外事畑の警察官僚としてまた内閣情報官として広く内外の情報収集にあたってこられました。まさに日本の治安の要のような人物です。その北村氏の監修作業が虚偽を見逃し単純な事実関係をとりこぼすような内容であったとするならば、日本の治安にとって、看過すべかざる事態と言わざるを得ません。よもや安倍晋三氏が虚偽を述べるとは思えず、また北村滋氏の情報収集と監修作業に抜け漏れがあるとは思えず、本書の記述内容に虚偽が含まれるのは、ひとえに貴社編集作業上の手抜かりが原因であろうと思われます。
 安倍氏ならびに北村氏の名誉を守るためにも、また、読者に誤解を与えないためにも、前述の通り、本書重版もしくは改版の際には、結果として虚偽記載となっている本書252頁の記述内容につき、注釈の付与等の編集上の措置を講じてくださいますよう改めてお願い申し上げます。
敬具


添付資料:令和元年(ワ)第27624号 損害賠償請求事件 判決文の写し

以上です。

実際の文面のスキャンデータは以下のとおり

書面1枚目
書面2枚目

こんな感じのお手紙を出しました。

中央公論新社さんが、『安倍晋三回顧録』の重版や改版をされるとき、どんな対応をされるのか、注意深く観察していきたいと思います。


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