January 3rd, 2024


テートブリテンへ行く。
個人的にロンドンで一番楽しみにしていた美術館だ。

テートブリテン所蔵のオフィーリアと、カーネーション、リリー、リリー、ローズが見たい。カタカナにするとただの花の名前の羅列みたいになっておもしろいな、特にリリーの方。

混む前に、と思って朝早く行ったが、全然人がいなかった。昼頃になっても人はまばら。こちらの人たちは仕事始まりが早いから、観光客があまりいなくなったのだろうか、それとももともとあんまり人がいないかんじなのか。
とはいえ人がいないのは助かる。自分のペースでのんびり回れる。

ナショナルギャラリーの人の多さでは、ゆっくりと絵画を楽しむ余裕はない。それゆえ、けっこうナショナルギャラリーは疲れたのだが、テートブリテン、その点では最高かもしれない。

螺旋状の階段には日本の波の紋がほどこされていて、なんだかちょっと和を感じる。デザイナーはそんなこと考えてないのかもだけど。

歩き回ると、すぐ見つかったオフィーリア。
テートブリテンの意図なのか、有名な絵画でも特に主張することなくほれ、ここに置いとくよ、気づくかな、的なノリで展示されてるから、一瞬通り過ぎそうになる。

きれいだ。
とにかく美しい。真ん中の少女も、川の水も、草花も。シェイクスピアのハムレットのかなしい一場面を切り取った絵らしいが、かなしいよりも美しい、の方が先にくる。美しさが余計にそのショッキングな場面を引き立てる。
恥ずかしながらシェイクスピアを読んだことがないのでネットで得た知識しかないけれど、ちゃんと読んでみたい。

カーネーション、リリー、リリー、ローズも扉の横、というなんともまあ見づらい位置にばーんと飾られていた。
ジャポニズムの影響だろうか、子どもがランタンを持っているが、ランタン、というよりは提灯、というワードの方がしっくりくる。
描かれているランタンの形が提灯そのままなのだ。

説明書を読んでみると、夕暮れのベストな時間を狙って、その時間に描いたとある。夏の陽が沈む前の、若干世界が紫がかる瞬間ってなんだか寂しいような、ノスタルジーに浸る感じというか、そういうのすごくわかる。

見たかった2つの絵画を見れて満足し、他の絵もうろうろしてみて回っていると、美術館のフリーツアーが始まるから参加したかったらどうぞ〜と声をかけていただく。

ナショナルギャラリーも大英博物館もフリーツアーみたいなのをやっているのをみたが、あまり興味がもてずにそのまま素通りしていた。

今回は時間もあるし、試しにいってみるか、ということで参加する。
集まったのは10人程度。いい年した素敵なおじさまとおばさまがほとんどで、若い人はわたしくらいだ。
フリーツアーを率いるのはバリバリのイギリス英語で喋るかわいらしいおばさま。ハリーポッターにでも出てきそうだ。同僚のおかげでイギリス英語に耳が慣れていてよかった。

1日に4〜5回くらいツアーがあるらしいが、私が参加した回のテーマはモダンアートとのことで、モダンアートをまわっていく。

正直モダンアートってよくわからないものが多いし、考えさせられるものもあれば、意図がつかめずにうーん、わからん…となるものも多い。

だがこのツアーを率いてくれたおばさまが、とてもわかりやすい解説(兼彼女なりの解釈)をしてくれて、モダンアート、けっこうもおもしろいじゃないか!と思わせてくれた。

アートも時代背景とか、追加の情報とか、バックグラウンドとか、なにか少しでも知るとぐっと身近に感じられるからおもしろい。

けして大きくないテートブリテンだが、楽しくてけっきょく3時間くらいいた。


ちょっと休憩を入れてから、ノッティングヒルのマーケットへ向かう。アンティークショップが立ち並び、建っているお家もカラフルに彩られている。

一軒これぞアンティークショップ!という見た目のお店に入ると、所狭しと並べられたアンティークの数々に、ハリーポッターのダイアゴン横丁を思い出す。ロンドンを歩いているといたるところにハリーポッターに出てくる要素が見つけられるからおもしろい。

市街地に戻り、自分のお土産用に紅茶のパックを買った。
「メンバーズカードつくりますか?」と問いかけてきたおばさまに、「うーん、明日ロンドン離れるのよね、だからいらないです」というと、暇だったかのかどこに帰るの?から始まり、東京と答えれば、おばさまのマシンガントークが始まる。
どうやら11月に東京に行ったらしく、街のきれいさとか公共交通機関のマナーだとか夜でも安心だとか、文化が素晴らしいとか、ものすごい勢いで喋り倒される。
日本出身としては日本の悪い面とかめんどくさい面もよく知っているから、普段生活しているとそっちに目が行きがちになるけれど、こうやって違う国の人に褒めてもらえるのはいつ聞いても嬉しい。自慢できるものをもっている国に生まれてよかったと思う。

滞在中にきれいな富士山が見れなかったというおばさまに、アドバイスと去年の夏に行った忍野八海もきれいだったから行ってみて、と加えておすすめしておいた。

帰りたくないけど明日はフライト。
帰りたくないけどなんでか知らないがこってこてのラーメンがものすっごく食べたいから帰る。笑
ロンドン、また絶対来る。

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