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私は素直に甲子園を見ることが出来ない

 さて、この季節がやってまいりました。暑くなったことで開催時期や時間の問題が取りざたされている昨今ですが、ぶっちゃけそんな外野の声はほぼ聴いちゃいないでしょうね。結局「金」が全ての大会になってしまいました。開催側に限らずそれは出場を目指す高校側でも同じです。現地でも中継でもその大会だけを見ていれば感動するかもしれませんが、裏を知っていればまぁそんな感動は1ミリもありません。

 まず前置きとしまして、私の父は高校の教師です(でした)すでに現役は引退して定年後講師として勤めている状況です。地方によって異なるとは思いますが、高校教師は定年後同じ地方の私立高校や予備校、場合によっては教育委員会などから声がかかり仕事をします。私の父は私立高校で講師という道を選びました。そんな父が赴任したのは世に言う「野球私立」というものです。まぁオブラートに包まずぶっちゃけると「野球しか能のないバカ高校」です。そんな高校でも普通の授業はしなくちゃいけないので講師は必要です。ですがやはりそういった学校は「野球」が中心で回っています。おそらくどの地方でもよっぽどしっかりした文武両道校でなければこういった面が最優先されていることでしょう。そしてその学校の真実は思っている以上にドロドロしていて金のことしか考えない汚い世界です。

※全ての学校がそうであるということはないということを前もって

 甲子園に出場するというのは、相当狭き門を潜り抜けてやっとたどり着く場所です。そのために学校側が何をするかと言えばまず「人を集める」ことから始まります。その地方(に限らず全国に触手を伸ばしますが)の有望な生徒を見つけスカウトし自分の所へ来てもらう。まずこれが監督(教師ですね)に課せられた使命です。まずここで出てくるのが「生徒集めばかりしていて授業はしない」ということです。まがいなりにも「教員」という立場にある人なわけですから、本来の本分は「勉強を教えること」です。その本分を無視してほぼ人集め(人買いと表した方が正解でしょう)をしています。まずこの段階で他の教師からしてみれば「はぁ」って感じになります。そしてそれを当然ですが上層部は許しているわけです、その学校の存亡がかかっているわけですから。これだけでも普通の学校と構図が異なるわけです。ノーマルな公立高校と比べるとその構図には天と地ほどの差があるんです。「たかが高校生の部活動」にその学校の存亡をゆだねている、と考えればそれがいかに異常かわかっていただけると思います。

 さて次に、その「人集め」なんですが、これも想像している以上にエグいものです。何も知らない方はおそらく「近所のリトルリーグなんかを回って優秀な子に声をかけている」位にしか思っていないでしょう。甘い甘い、そんなので済めば苦労しません。これに関しては高校側もですがリトルリーグ側(売り手側)も結構エグい要求をしてきます。言い方は非常に悪いですが「野球しか能のないバカの子」というのがいるわけです。そういう子は勉強ではどう頑張っても高校に行けません。そういった子がどうやって高校に入るかというと、それは「抱き合わせ入学」です。高校側がスカウトにやってきて「こいつが欲しい」といいます。どうぞどうぞと簡単にいくわけもなく送り出す側もいろいろな条件を付けてきます。その中にこの抱き合わせがあります。「おまえんとこに入れてやるからこいつもついでに入れてやってくれないか」という、普通に考えればあり得ない方法で入学が成立します。優秀な子はレギュラーになれる可能性もあるでしょうが、そんな抱き合わせ販売の子は当然レギュラーにはなりません。そうなるとどうなるか、単純に腐ります。これ以上の話も聞いていますがこれ以上書いちゃうと名誉の問題にもなりますので伏せます。来年あたり書いてるかもしれませんがw 結局野球のために子供の人生を捻じ曲げている大人がいるんです。子供のためと思えるかもしれませんが、行きつくところは自分の学校の経営です。まー端的に言ってクズです。

 そしてもう一つ、人集めの闇があります。越境入学はもうご存じだと思いますが、その越境でただ優秀な人間を集めたいのかと言われればそうではありません。ライバル校の地域のある程度優秀な生徒を自分のところに集めます。要は「ライバル校に少しでもいい生徒がいかないようにその土地の選手を枯らしに行く」のです。今の日本プロ野球のFAに似てますね。自分のところを強くするように見えて、実のところ相手チームを弱くするのが目的になっているというわけです。これが高校ですでに行われているという事実を知った時「もうアカン」と思いました。昔ならそこまでのことはなかったでしょうが、人口が減った昨今だからこその手口でしょう。とにかく自分のところが甲子園に行くためにはどういった手段でも使う、その果ての手口がこれということです。よく言われる「どこから来た選手だとしても、自分の地元の高校で頑張っているのだから応援する」なんてのはマジ綺麗ごとで私は全否定しちゃいます。地域対抗戦という構図はすでになく、「金に目のくらんだ高校同士の殴り合い」みたいな甲子園なんです。


 今年の夏出ている栃木の石橋高校なんかは公立ですから上記のようなことはあまりないと思いますが、それ以外の私立はまー似たようなことはやっていると考えていいでしょう。あの花巻東は基本県内生徒だけで賄っていますが、それもどこまで続くかなという感じです。それだけ野球にその高校の経営を依存していればいるほどこの構図と闇は濃く深くなっていきます。結局のところ商売に成り下がってしまった高校野球というのもが、金と切り離すのがムリな状態まで堕ちたからこその問題です。悪いのはここまで金につなげてしまった主催とメディアなんですけどね。これで甲子園に出れればまだいくらか回収もできるでしょうが、それが叶わなければさらに厳しくなります。恐らくそういった野球学校の経営の大半は厳しいと思います、特に地方は顕著です。ただでさえ子供が減り野球人口が減っているわけですから、経営を維持するために何でもやるようになっちゃってます。それを事実として見聞きできる自分はあの大会を「青春だ、感動だ!」なんて手放しで見れたことは自分が高校生の時くらいです(うちは公立だったのですぐ負けましたけどw)

 もう一度考えてみてください、たかが高校の部活動です。そんな子供の活動になんで大人が寄ってたかって金を産もうとするんでしょうか。無垢な子供を出汁にして。私はこのままであれば高校野球は一切応援できませんね。そういったところから目を背けて(というか普通は知る由もないわけです)応援するのもいいと思います。ですが少しはそういった背景があるか知ってほしいと思い今回したためさせてもらいました。
 

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