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レコ芸ロスのつれづれに②レコ芸を片手にサブスクを聴く

 2年ほど前にスマホを買ってから、音楽サブスクのApple Musicを使っています。

 レコ芸を読んでいるといろいろなCDを聴きたくなります。サブスクに入っていると、すぐにその場で聴いてみることができて便利です。
 CDを購入する点数は以前とくらべてかなり少なくなりました。あえてパッケージメディアを買うのは、それなりの理由(例えば、使用楽器について知りたいから解説書が読みたいとか、歌詞対訳がないと困るとか、気に入ったアルバムは形あるモノとして持っていたいとか)がある場合だけです。また、サブスクで試聴できると買う・買わないの判断がより厳しくなります。
 サブスクを使う前は、聴いてみたいCDは買うか借りるかしかありませんでした。だから、毎月そこそこの点数を買っていました。中古店にもよく行きましたし。
 そこそこ、といっても収入のない私が趣味に使える金額など微々たるものです。欲しいCDを全て買う余裕はありません。どれを買いどれを諦めるか決めるのに、レコ芸のレビューは熱心に読みました。LPレコードがまだ高価だった時代の人と同じようなことを、私はつい最近までしていたのです(好きな奏者のCDはレビューを見ずに予約することもありましたが)。

 サブスクに加入して音楽が聴き放題になったのは嬉しいことです。懐具合を考えなくてよくなりましたし、廃盤などで入手困難だったアルバムもその多くが簡単に聴けるようになりました。
 レコ芸を読んで「これは」というものは次々とApple Musicのライブラリに登録しました。でも、音楽鑑賞に充てられる時間はCD時代と変わりません。聴くのが追いつかなくて未聴のアルバムが大量にたまっています。
 私は鈍感なので、一度聴いただけではその音楽の魅力がわからない場合も少なくありません(むしろ繰り返し聴いてやっと凄さがわかったもののほうがより心に残る気がします)。じっくり聴こうとするとそんなに数はこなせません。限られた時間に何を聴くかは、よく考えて選びたいです。

 Apple Musicでは今のところ、アルバム内容についての表示がCDのように整ってはいません。曲目や演奏者の紹介、録音年など、CDのブックレットにはたいてい書いてあるような情報がなかったりします。
 こうした情報をレコ芸などで見てから聴ければよいのですが、たまたま見つけたアルバムや曲についてその場で満足に知ることができないのは不便です。
 また、Apple Musicでクラシック音楽を検索する場合、検索ワードをうまく組み合わせないと目当てのものにヒット出来ないことが多いのも難点です。演奏者名や、サムネイルを見分けるためのジャケット写真など、検索に必要な情報は予め用意しておきたいものです。
 そういった点で、サブスクを活用するための資料としても、レコ芸にはとてもお世話になりました(欲を言えば、作品名や演奏者等のスペルも載せてもらえるともっと便利だったかと思います。日本語入力では検索できなかったことが少なからずあったからです)。
 ちなみに、Apple Musicでは、クラシック音楽に特化したアプリが日本でもリリース予定とのこと。そうなればもう少し使い勝手が良くなるでしょうか。
(追記:2024年1月にApple Music Classical というアプリがリリースされ、クラシック音楽の検索がしやすくなりました。)

 余談ですが、以前他のサブスクの無料体験をした時に、試しに「おすすめ」だけを再生し続けたことがあります。最初に聴いたのが中世の宗教音楽だったのですが、すぐにその種の音楽ばかりが出てくるようになりました。
 サブスクのおすすめ機能は、上手に使えば未知の音楽とのすてきな出会いにつながるのかもしれません。その一方で、再生履歴によっては聴く音楽の範囲が極端に狭くなることがわかりました。例えば「中世音楽を集中的に聴きたい」というような場合ならその方がよいのでしょうが、私は古楽から現代曲まで広く浅く聴きたい人なので、あまり方向を限定されたくはないなと思います。
 サブスクは受け身で漫然と使うよりは、主体的に使いこなしたいです。そのためには、レコ芸に代わるガイドとなるようなものができると良いのですが。
(追記:レコ芸は2024年9月25日よりオンライン版で復活予定。サブスクを使う上での羅針盤になってくれるものと期待しています。)

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