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畑で気象データを測定する①~測定方法~

 製造工程において生産性を高めようとするならば,製造条件を極力設定どおりにすることが重要です。「今」がどのような状態かわからなければ,設定と比較しようがありませんから,状態を何らかの方法で計測しなければなりません。農業も製造業のひとつですからしかりです。僕の小さな圃場(露地)では,気温と地中温度を測定しています。その測定方法についてご紹介します。

 温度計は,(株)エー・アンド・デイ社製デジタル温度データロガー(外部温度センサー付き) AD-5326TTを使用しています。


 この温度計の特徴としては,気温センサーと別にもう1つ測定チャンネルがあるため,センサーを取り付けることで地中温度を同時に測定できます。地中温度を測定することで,水分等の土壌の情報も得ることができます。
動力源は電池で別に電源を用意する必要がありません。露地圃場では近くに電気が来ていないことも多いので,電池で駆動することは重要です。データはセンサー内部に記録され,定期的にパソコンと接続することで回収します。あらかじめ2台用意しておけばデータ欠測なく測定できます。

設置状況は以下の写真のとおりです。

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 すのこ踏み台の上に天板を隙間を開けて取り付けた箱を設置し,その中に温度計を入れています。自然通風によりすのこの隙間から空気が入り,上部の隙間から抜けていく仕組みになっています。気象庁の温度測定では,温度計はファンのついた筒の中に入れられてファンにより空気が流れていきます。つまり,気温の測定では空気が滞留しないようにすることが必要です。ファンを取り付けると回すための電源が必要になるので,煙突効果により下から上へ空気が流れるように工夫しました。
 材料は全て木材で白く塗装しています。昔小学校にあった気象測定用の百葉箱を見たことがある方は分かると思いますが、木製で白です。日光の熱を吸収しにくいようになっています。
 上部の木枠は自分で木材から切り出してもいいですが,不器用な僕にとっては難しい作業なので,下の換気扇用の木枠を利用しています。そこそこ厚みもありいい感じです。この木枠の上に天板となる木の板ををL字金具で3㎝ほどの隙間を開けて取り付けています。これをすのこ踏み台の上に置きます。すのこ踏み台の高さは20㎝のものを使用しています。


 地中温度測定用のセンサーケーブルはすこのの隙間から延ばし,センサーを表面から3㎝の深さに埋めています。センサー設置位置は踏み台の真下ではなく,ある程度日光の当たる位置です。時間が経過するとセンサー設置位置まわりに雑草が生えてきます。測定条件が変わってしまうので,こまめに雑草除去をしましょう。

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導入費用としては,
・温度計(センサー付き)・・・・約5,500円
・木枠・・・約1,300円
・すのこ踏み台・・・・約1,000円
・天板・・・約400円
・接続用L金具(4つ)・・・約400円
・塗装費用(ペンキ+刷毛)・・・約500円
合計・・・約9,100円
 1万円以内で用意できます。ランニングコストも年に1回の電池交換だけですのでリーズナブルです。農業向け測定機器は様々なものが販売されていますが,ハウス向けが多く露地に適したものはあまりありません。あっても大がかりな工事が必要であったりして高価になります。

 今回の方法はデータは後から回収する形になるので,リアルタイム監視はできませんが,露地ではそもそも条件を制御することが難しいのであまり気にしなくてもいいでしょう。データを後から分析することによって,次の栽培に生かすことが可能となります。比較的簡単に始められるので,まずは気軽に測定してみてはいかがでしょうか。

 次回は,この測定方法で得られるデータについてご紹介したいと思います。
 

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