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ダイコン栽培気象条件の分析

 今回はダイコンについて分析していきます。ダイコンは重量ベースで見ると市場流通量第3位で,かなり生産量の多い品目です。食卓でも刺身のツマ,大根おろしやおでんのタネと脇役から主役までこなすユーティリティープレイヤーです。



 播種から収穫までの積算気温とひと株の重さの関係は下図です。

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 図中の点の色の違いは栽培品種の違いで,栽培年度も異なりますが全て9月に播種したデータです。「赤と青」の品種では一定の重さまでしか重くなっていませんが,「緑」の品種は積算温度が増えるほど成長して重くなっていっています。

 ダイコンは植物としてはアブラナ科(キャベツやハクサイの仲間)で,根を食用とするタイプです。抽苔する(花が咲く)と花側に栄養が取られるため,大きくならなかったり,食味が落ちたりするので,抽苔は避けなければなりません。またダイコンは「シードバーナリー」タイプで,播種した時点からある一定程度の低温を感知すると花を咲かせます。

 下図はしきい値を10℃として,横軸を栽培期間中の10℃以下の温度となった時間としたものです。

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 「赤と青」の品種は10℃以下の低温が50時間以上となると株の重さが増えていません。低温を感知して花を咲かせる準備に入り,根の成長を止めたということだと思われます。一方で「緑」の品種では低温時間が長くなっても株の重さは増えて成長を続けています。(成長のスピードは落ちています)

 上記のように、ダイコンには様々な品種があり,抽苔の特性が違います。栽培時期に応じた品種を選定することが重要になります。

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