今人気ナンバー1の野菜はブロッコリー

このTwitterに投稿した図は野菜の作付面積を2000年比で描いたもので,ほとんとの野菜が作付面積を減らす中,ブロッコリーだけが2倍に増えている様子をあらわしたものです。当初は違う目的でデータを整理していたのですがこの図が出てきて思わず3度見くらいして思わず投稿してしまいました。なかなかインパクトある図でTwitterで多くの人に拡散されました。

なぜブロッコリーの作付面積が増えているのでしょうか?まずは生産側から見てみたいと思います。

まず第一に労力等を含めたトータルの生産コストが低いということが挙げられます。ブロッコリーはアブラナ科です。このアブラナ科の植物は一般に気候の対応幅が広いのでハウス等の高価な資材を用いずに露地畑で栽培することができます。比較的病害虫にも強いです。
そして他のアブラナ科の重量野菜であるキャベツやハクサイに比べて軽い上に,これが一番重要かも知れませんが,食用になる花蕾(ブロッコリーはつぼみを食べます)が地面よりかなり上にできるので収穫時の姿勢が楽になり,収穫の労力が削減できます。

次に水田を減らす減反政策により畑作に転換が進んでいるのですが,その際にブロッコリーの導入を推進した産地が多くあります。特に秋~春の低温期でも栽培可能な西日本で多く導入が進み,九州(熊本・長崎)や四国(香川・徳島)では2000年比で2.5~3倍程度に増えています。

次に消費側を考えてみます。

まずは調理の手軽さではないでしょうか。ゆでるだけまたは電子レンジでチンするだけで食べられるので,核家族化が進む現代では取り入れられやすいと思います。それでいて味は野菜特有の青臭さとが泥臭さはあまりないので,子供でも食べやすいです。
そして栄養面での優秀さも挙げられます。ビタミンCが豊富で野菜の中ではタンパク質が多いためダイエットや筋トレにも向いているということで,現代の健康ブームにも乗っています。

実際に人気がある証拠として,生産量は大幅に増えているものの価格は下がっていません。

この図は2006年からのブロッコリーの単価(円/kg)ですが,近年は横ばいですが全体的には上昇トレンドとなっています。
ただ,今年の3月下旬ころは価格が暴落しました。これは,3月中旬頃のブロッコリーの産地である西日本での高温のため成長速度が速まり,一気に出荷時期を迎えてしまったためです。生産力が上がっているので,ちょっとした気候変動で大きく価格が下がるリスクは大きくなってきています。

さてこのように人気のブロッコリーですが,その消費量は地域によって差があります。下の図は各県庁所在地における1世帯あたりのブロッコリー支出金額を偏差値にして色分けして示したものです。

これを見ると明らかに東高西低の傾向があり,特に近年生産量を伸ばしてきている四国・九州が低いですね。低い理由は分かりませんが,一大生産地ではあるので,今後まだまだ伸びる余地はありそうです。そうなると,生産過剰でブロッコリーの価格がこの先急激に下がるということは当分ないかなとも思います。

ちなみに各都市でのブロッコリー販売単価もグラフにしてみました。

消費量とはあまり関係なく,だいたいどの都市でも同程度の値段です。ただ那覇市が高いのは仕方ないにしても前橋市が極端に安いのはなぜでしょう。とりあえずブロッコリーは群馬県で買うのがお得だと言えます。

Twittwerでのいわゆるバズりからブロッコリーについていろいろ調べてみました。実はこの流れの中で,テレビの情報番組でコメントする機会があったり,なんだかブロッコリーを宣伝することが僕の使命ではないかと思ったりしています。次はおいしいブロッコリー料理のレシピかな。

ブロッコリーの生育適温は18~20℃。これからが旬です。おいしいブロッコリーをたくさん食べましょう!


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