畑で気象データを測定する③~気象庁データとの比較~
圃場での気温(地温)測定データを気象庁の測定データと比較してみました。僕の畑は福岡県北九州市にあり,最寄りの気象庁測定点は「八幡」です。畑の標高は地理院地図で確認すると1.5m,「八幡」の標高は20mです。
ある冬の1日,ある夏の1日,大雨が降った日の10分ごとのデータを比較しています。現地圃場は10分ごとにデータを計測していますが,気象庁では10秒ごとにデータを計測しそれの10分間平均としています。
昼間は「八幡」より現地圃場の方が高くなる傾向があり,夜間は現地圃場の方が低くなる傾向があります。現地圃場でのデータ計測は以前紹介したように自然通風式で,ファンで強制通風する気象庁の測定と比較して日射による影響を受けやすくなっています。ただ実際には畑の土の上に直接野菜が生えていて,日射も遮られることなく受けているので,現地圃場での測定方法の方が,野菜が感じている気温に近いのではないかと思います。畑の立地としては,周囲は水田に囲まれていて平坦で風通しの良い場所です。夜間は熱が奪われやすい条件になりやすいため気温が低くなっています。雨の日については日射や蒸発に伴う熱の移動が少ないため,両者の値が近くなっています。
2020年1月~12月の現地圃場と「八幡」のデータ(1時間平均)を散布図上に乗せたものが下図です。赤の直線は1:1を示していて,この線より上は現地圃場の方が温度が高く,下ならば現地圃場の方が低いということを表しています。温度が高くなればなるほど現地圃場の方が高くなり,低くなればなるほど現地圃場の方が低くなる傾向あることが分かります。
日平均温度についても上図と同様に散布図上に乗せてみました。するとほぼ赤の直線に近くなり,日平均温度では現地圃場と「八幡」のデータに大きな差がないことが分かりました。収穫時期などの指標として用いる積算気温は日平均気温を用います。
積算気温をモニタリングしたい場合「八幡」の観測値を見ておけば大きく外れることはないでしょう。一方で,最高気温,最低気温については「八幡」のデータでは不十分なので,現地圃場データが必要となります。
このように現地測定データを気象庁のデータと比較することで,自分の圃場の気象条件の特徴を知ることができます。また膨大にある気象庁の観測、予測データとの関連性を見つけることでピンポイントでの予測もしやすくなります。
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