この夏を振り返る 2021年
そろそろ夏野菜の栽培は終わりを迎える頃になってきました。今シーズンの出来はいかがだったでしょうか。栽培気象条件を振り返ってみたいと思います。
気温,降水量,日照時間の平年値との比較は気象庁のサイトにあります。こちらのデータを使います。
下図は過去90日(5/30~8/27)の気温平年差です。だいたい夏野菜の生育期間がこれくらいの期間ではないでしょうか。
西日本では平年並み~平年以下で特に太平洋側で平年よりも低い傾向が顕著です。東日本ではほぼ平年以上で北へ行くほど平年よりも気温が高くなっています。
下図は同期間の日照時間です。
傾向としては気温と同様です。北海道から東北の日本海側にかけては,平年と比べてもかなり長い日照時間となりました。関東地方も平年比110%以上で長いです。一方西日本は日本海側では平年並みの地域もありますが,ほぼ平年以下,沖縄県から宮崎県にかけては平年の80%以下と極端に日照時間の少ない地域もあります。
下図は降水量です。
降水量は北日本を除き,平年よりも多い地域がほとんどです。特に九州~中国地方では,8月に集中して降ったことは記憶に新しいと思います。北海道の北部は平年比50%以下とかなり少雨となった地域もあります。
全国的にこの夏を振り返ってみると,西日本では気温的には冷害といえるほど低くはなっていませんが,低日照と多雨は顕著で,特に雨は短期間に集中的にふっており,農業生産に与える影響は大きかったと思われます。
逆に北海道は高温,少雨で干ばつの傾向がありました。こちらもかなり影響があったのではないでしょうか。
関東周辺ではだいたい平年並みですが,雨の降り方が短期間に集中しておりその影響は無視できません。東北地方は平年通りで気象が悪影響を及ぼすことは少なかったと思われます。
平年値との比較期間については,90日間以外にも,60日,30日,20日,10日,5日があります。具体的な観測地点でのデータとともに上で紹介した気象庁のサイトで確認できます。
画像が小さいですが,僕が住んでいる福岡県のデータです。
やはり前20日間(8/8~)の雨量がすごいことになっています。全国地図の表示では200%(2倍)以上との表示しかありませんが,具体的な数値は500~700%(5~7倍)です。数字でみても異常な量の雨が降ったことが分かります。日照時間は平年の半分以下です。
僕の圃場でも,トマト・キュウリは集中豪雨の期間でほとんどやられてしまいました。ナス・オクラもその期間は全く成長が見られずに収穫はほとんどありませんでした。低温・低日照がかなり効いています。今回のデータから,栽培に悪影響を及ぼす要因の分析も進めていきたいと思っています。
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