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調味料メーカーのヒットを作ったマーケティング #マープス

無料のオンラインマーケティング講座「マープス」

味の素で国内外のマーケティングに従事された中島さんによる「ヒットを生む“法則”と実践のポイント」です。

中島広数さんのプロフィール

今回は、こちらの本の内容を中心の講座です。

★今日のnoteでわかること

  • 大手メーカーが考えるマーケティング

  • ヒットにつながる要素

  • マーケターのキャリアの築き方


マーケティングはバリューチェーンの創造

マーケティングは価値づくりのチェーンをつないで、大きな価値を生む活動です。

①新商品開発:コンセプト作り、プロダクト開発
②事業計画、マーケティングプラン、営業マネジメント、工業化、原料調達
③ブランドコミュニケーション、デジタルマーケティング、広告、販促

マーケティングというと、③を話すことが多いが、やっぱり①②。
コトラーの本でも①②の内容が手厚いし、ビジネススクールでは①②をやる。大手メーカーの場合、①②について、社内講師から教わる。

マーケティングが苦手な企業が陥りがちな課題

・ターゲット(最終消費者)を明確していない
(例:お酒を飲みそうな世代全体→いやいや飲まない人いるよね)
・プロダクトアウト過ぎる:どうやってユーザーに理解させ、トライアルさせるかの視点の欠落
・商品開発と販売・販促の一体感不足(バリューチェーン全体の管理者がはっきりしない)
・ブランドマネジメントができていない:自社の強みを理解せず、活かせていない(利益率低下に至る)
・マーケティング活動の集合知が蓄積されない:ルールやフローが標準化されていない

メーカーにおけるマーケティング部門の分担

メーカーは2つの役割に分かれやすい。

<企画・開発系マーケター>
・市場・消費者分析
・STP設定
・商品コンセプト企画
・製品開発マネジメント(消費者調査も)
・コミュニケーション戦略

<販売系マーケター>
・マーケティングプランニング
・営業マネジメント
・採算管理
・需給マネジメント
・広告費配分
・販管費コントロール

ヒットの法則

4Pよりも独創的なプロダクトを

<日本式>マーケティングは、需要創造=商品開発起点で!

新事業、新製品開発の成功の原則

・コンセプトが生活者に受け入れられる
・アイデアを具現化する仕掛けがある
・その他大勢の中から選ばれる魅力を備えている
・儲かる仕組みが構造化されている
・社会全体に共感を生む価値がある

特に、社会全体に共感を生む価値があれば、上司にダメ出しされても、折れない。

■受容関心度(ヒットの可能性)
・ネーミングのキレの良さ(例:「食べるラー油」)
・手に取ってみたくなる値ごろ感
・中身の良さが伝わるデザイン(例:金色で上質感を持つ、香味ペースト)

■選考優位
※以前は、競争優位っていってたけど、競合だけじゃない。消費者にも選ぶ権利がある

・独自ポジショニング(大人も子供も満足する)
・自社ならでは、そして、お客様にとっても価値がある
・三本の矢(良い商品・手に届く・価値が伝わる)→どれが欠けてもダメ
 商品:ネーミング・デザイン・商品の中身
 届くこと:味の素ではチャネルカバー率70%
 伝わること:店頭露出、広告

「唯一の~」といえるか?

例えば、「大人も子供も満足する」と考えた時、唐辛子を使っていいか? どのくらいなら子どもでもOK? その程度の隠し味でも大人もちょっといい刺激が残るか、みたいな議論ができる。

製品力が強いと、広告代理店嫌いってこともあるけど、そうすると二本の矢になっちゃう。三本の矢を揃える

■採算性
・売上高を要素分解+潜在需要を特定:推定売上高を計算
・Gross Profit
・販管費を抑えるP/L構造

<値付け>
店頭の価格を決めてから、開発する。例えば、クックドゥは、調理に使う肉が1パック250円だと、調味料が同じ価格では手を出しにくい。おいしいものを作ったから、買ってねは通用しない。最初の値付けで買ってもらえるか、利益が出るか決まっちゃう。

<販売>
「うちの営業売ってこないんだよ!」
「じゃ、なんで売ってこないか聞いたの?」
他の競合は、値引きとか、条件を飲んでいるが、うちは飲んでない、なんてことがある。

海外ビジネスの勝ちパターン

・味の素/風味調味料の横展開
・各国の料理に合わせたメニュー調味料
・メニュー調味料も横展開できれば横展開
・縦にも伸ばす(風味調味料→メニュー調味料→スープ→・・・→冷凍食品)

★CAPD

PDCAのように、プランから始めない。まずチェック!
絶対、現時点で問題が起きている。C(Check)A(Action) → CA → CAってやってたら。妥当なP(Plan)が見つかる。テストマーケティングもCA。作ったものを、家族に食べさせることもCA。

マーケターのキャリア

中島さんの場合、スキルの掛け算が効いた。

・マーケ×中国語
・マーケ×ASEAN諸国駐在経験

中島さん自身は、味の素で以下のようなスキルを身に付けて、それぞれの掛け算で、独立後の仕事ができている。

「商品企画」「消費者調査」「海外営業」「ブランドマネジメント」「マーケティングプラン」・・・「新事業開発」「コーチング」「組織マネジメント」

大手メーカーの場合、3年くらいでやめちゃうといろんなスキルを獲得できないままになってしまう。中島さんも、主体的に選びとってきたわけではないが、都度、直近の希望を通じて、主張はした。例えば、第一希望:「クックドゥ」の開発、第二希望:「本だし」の開発、第三希望:〇〇の開発、みたいに希望を出せば、開発がやりたいことは上司に伝わる。ただ味の素は事業全体が大きいので、「あ、開発やりたいの?」「じゃ、タイで開発ね」みたいな想像していない展開になることもあるけれど、そこで獲得できるスキルもある。

大手に勤めることが難しくても、実はよく知られた製品で、売上規模も大きくないグローバルメーカーは多い。そういうところでキャリアを積むものあり。

感想

「独創的な商品が先」という主張に驚いた回でした。今の世の中、商品があふれ、消費者にどうしても欲しいものもない時代。まず、同質化要素(当たり前品質)を備え、その上で差別化要因を! みたいな話が多い中、まず、特徴的な他にない製品を作ることからスタートするという話でした。そんな製品であっても、店頭にならべ、広告を打ち、利益が出る値付けのどれもおそそかにできません。

中島さんは、社会的に共感が得られる価値を作るために、自分の家族に対する想いがある人でした。でも、想いだけではヒットはしません。商品にも、共感できる価値以外に、目を惹くデザイン、手ごろな価格も、店頭を占めることも、どれもおそそかにできないことを教えていただきました。

マープスの課題本は貯まる一方ですが、必ず読みます。


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