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谷川俊太郎さんの言葉の授業

※「ほぼ日の學校 Advent Calendar 2021」11日目です。

谷川俊太郎「ことば」の授業

谷川俊太郎 (詩人)

言いたいことを伝える。
人の意思や気持ちを受けとめる。
どちらも、ことばという道具が大切な役割をはたします。
谷川俊太郎さんのご自宅で収録した、ことばの授業です。
小さい子にも大人にも、きっと伝わる正直なことばを。

詩を書くことはありませんが、人生の時折、詩に触れてきました。
詩を読んで、
この気分はわかる、何か沁みる、気持ちいい言葉だな
と感じたことはあります。

私は今、短歌を詠んでいます。詩ではありませんが、短い言葉で何かを表現をする方の考え方に触れたいと思いました。

授業は、ほぼ日で糸井さんと対談されていた連載に集まってきた質問を谷川さんに答えていただくという形式です。

子どもの教育のこと、日本語の流行のこと、そして、詩について、十個くらいの質問に答えられてます。

一つ取り上げてみます。
中三の女性からの質問です。

詩に手を入れて
ブラッシュアップをしている時に
もう手を入れられない
完成したと思う瞬間は
いつ来るのですか?

(谷川)
それは作者が満足した時ですよ

(司会)
どういう時に満足するんですか?

(谷川)
完成した時

(谷川)
それは確かに動いてますね
自分がある程度これでいいと思って
編集部に送ろうと思うじゃないですか
でもまた見返すと
やっぱり違うなと思って直すでしょ
それやってたらキリないんですよね
詩の推敲というのは
よっぽど運が良くない限りは
なかなか完成形にならないのね
だから僕は締切日が完成日だと
思ってます まず基本的に
締切日が過ぎて
雑誌かなんかに載って見返してみて
ああダメだと思ってももう直さない
一旦活字化されちゃったら
基本的には直さないですね
それを引っ込めるのは卑怯でしょ

そう、短歌をやっていても、推敲して時間が経った後に、もっといい単語を選べたかも、語順が違ったかも、と思うことがよくあります。推敲した時は、こちらのほうが伝わりやすい、気分が伝わりそう、と考えるですが、あとで見ると違ったな、ということはよくあります。

考えを尽くせなかった自分を責めたくもなりますが、あれだけ詩作をされてきた谷川俊太郎さんが締切日を完成日とおっしゃるくらいだから、そういうもんだ、と肩に力を入れずに、引き続き、創作ということをしていこうと思いました。

ただ、谷川さんはこの授業の中でおっしゃっていますが、詩作の方法として、自分の感情だけでなく工芸的に言葉を扱ってみるといった話や、過去の作家の文体の話をされています。私なんかと違って、ちゃんと長い時間、言葉に向き合い、試行錯誤を重ねられてきたわけです。

私はまだ生き方まで創作を中心に据えようと思っていないので、創作を続けられなくなるほど、自分を追い込むことはないな、と。でも、もっと自分の好きな詩人、歌人、作家から多くを学ばないとなぁ。ゆっくりした気分で聞けるいいお話でした。

谷川さんは、穏やかで、しっかりしたお声ですね。
谷川さんの詩の朗読もよいです。


いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。