息子がゴジラを見上げた日
子どもにはいろんな体験をしてほしいと思っている。
好き、嫌い、得意、不得意、なるべく体験して、本人に判断してほしい。もちろん、保育園の時に不得意だったことでも、小学生の時に得意になることもあるだろう。その時、一緒に遊んでくれた人や教えてくれる人との相性や、付き合ってくれた大人と気が合うタイミングもある。だからやりたくなった時に、何度でも、やらせてみるのがいいと思っている。
私が体を動かすのが得意じゃないし、アウトドア派でもないので、スポーツやキャンプをやらせたいと思いつつ、やらせることができていないのが、ちょっと残念なところだ。外で体を動かすといっても、今は月に一度、低山に登るくらいがせいぜいだ。
基本、本人がやりたいことをやらせたいと思うが、息子がそもそも存在を知らないでいることもある。そういうものは、こちらから提案するしかない。
一つ、以前から体験させたいことがあった。
VR体験だ。
スポーツで体を使うこと同様、以前初めてVRを体験した時、新しい感覚を手にしたと感じた。
これは、早めに体験させてやりたいと、前から思っていた。
VRは、子どもの視力などに悪影響があるとも言われているので、ゲームなどで、早いうちから頻繁に使わせる気はなかったが、どこかで一度くらい体験させてやりたいと思っていた。
数年前には、VRのアトラクション施設が都内にいくつもあったが、ここ1,2年で施設が減ったように思う。コロナ感染拡大で、機器に直接触れるようなアトラクションに客足が遠のいたのか、完成度が低くアトラクションとして人気を獲得できなかったのか、それはわからない。いろんな施設を探したが、息子にハマるコンテンツが見つからなかった。
(お父さんの手元にあるアダルトなコンテンツを見せるわけにもいかない)
7月から、ゴジラとエヴァのVRのアトラクションをやってることをTwitterで知った。
息子はゴジラもエヴァも大好きだ。
(エヴァは、作品よりも世界観と初号機の造形が好き、というのが正しい)
息子に聞いたところ、「行きたい!」と言う。
横浜の開催は、8/21(日)まで。息子は8月中は夏休みだが、8月の中旬以降、私との予定が合わない。混雑する中、行きたくはなかったので、8月最初の週に、有休を取得して、平日に行くことにした。
平日だから少ないのか、あまり人気がない企画なのか、人は少なかった。お昼どき、VRのエリアに、我々の前には一組しかいなかった。
チケットを買いすぐに親子で作戦に参加した。
一緒に、シンゴジラを血液凝固剤で凍結する作戦を行い、続いて休みなく、エヴァに搭乗し、使徒を倒す作戦に参加した。
(息子は、大好きな初号機に搭乗。使徒を倒す作戦は失敗に終わった…)
使徒を倒す作戦の時、私は少し酔ってしまったが、息子は興奮して、ゴジラと使徒について語る。すぐに「もう一回ゴジラやりたい」と言う。一瞬、逡巡するも、そこまでやりたいなら… とゴジラの券を購入し、一人入り口へ。
一緒にやらなくてよかったと思う。気分が悪くなったせいもあるし、1,000円を惜しんだ気持ちもあったが、参加しなかったことで、作戦中の息子の様子を外から眺めることができた。
私は、ゴジラを恐々と見つめていたのに、息子は作戦中にも関わらず、ゴジラに手を振る始末。一応、作戦もしっかりこなし、二度目のゴジラ凍結。
終わった後、顔見知りになったスタッフさんのかける声も無視して、一目散に私のところに来て、ゴジラがいかにかっこよかったかを語る息子。好きなコンテンツで、VRを体験させることができてよかった。
ゴジラを見上げる体験をさせることができてよかったと思う。
人間の想像のほうが目よりも遥かに力があるが、想像できないことは、直接、目で見ることが勝ることがある。そんな体験を好きなコンテンツでさせることができてよかった。
これから先、ゴジラを見上げた体験が人生に役立たなくてもいいけれど、ゴジラを見上げたことで、人生が少しおもしろくなるといいと思う。
いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。