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今月もひとり歌会(2020年10月)

月が終わると、毎日詠んだ歌を整理する「ひとり歌会」。誰のフィードバックも得ずに、ひとりで詠んだ歌を見ながら、仕事や生活をふりかえる。

近況

毎日歌を詠むようになってから、こんなにも歌に詠むフレーズが出てこなかった月はこれまでなかった。致し方なく、歌が詠めないという歌も詠んだ。
そんな状況だったから、今月はスズメバチに刺されるというアクシデントがあったけれど、一首を詠めるネタができてよかったとさえ思った。

歌について

詠もうとして「さえ」「だに」などの助詞が浮かぶことがあるけど、正しい使い方かどうかわからず、しっくりこない他の言葉に置き換えることがよくあった。
正しい使い方を知って、しっくりくる助詞が使えるようになればいいな。

今月の歌(36首)

10/1木
中秋の名月だとかいう晩に数十秒だけ外に出てみる
(「塔」短歌会11/20締切投稿分)
10/2金
敵意すら感じるほどの勢いで我が頭上過ぐ一機の鳩が
(「塔」短歌会11/20締切投稿分)
10/3土
日々飲めば飲み下すことできぬほど喉が荒れたり 癒えるのを待つ
10/4日
子と二人居ても眠気に逆らえず大事な時間削られていく
10/5月
休み中たった一つの申請も信頼がなく理由を聞かれ
10/6火
油見つけ素揚げをすべくスーパーに夜半に駆け込みじゃがいもを買う
10/7水
来週の人間ドックの問診に答えるほどに不健康知る
(「塔」短歌会11/20締切投稿分)
10/8木
家で酔うつまみ無けれどラーメンも餃子も前のコンビニにあり
10/9金
冷たき雨 子が握る手が柔らかくどこか温まる心地になって
10/10土
いつもならきっと目で追う白い脚息子の存在感じ目を伏せ
あゝ吾子や 父なる人は好きか? など尋ねたくなり小雨降る午後

10/11日
目が覚めてテレビのリモコンオンにして日曜日だとわかり目を閉じ
10/12月
目の前のできること今浮かばずに見知らぬ街の神社ハシゴす
(「塔」短歌会11/20締切投稿分)
10/13火
いつからかなまった体起こすため一万四千歩く芋の日
10/14水
節約をすればトイレは詰まるもの修理が終わり諭吉が去って
(「塔」短歌会11/20締切投稿分)
10/15木
詠む歌に栄養欲しく俳諧の番組を見るサワー片手に
(「塔」短歌会11/20締切投稿分)
10/16金
さあやろう年末処理に筋トレに勉強もあるどれも選べず
10/17土
生活を取り戻そうとするけれど酒を煽って床に転がる
10/18日
何のせい? 残りの休みもあと少し 心動かず詩も句も生まず
10/19月
おそろしい 歌につむぐ語出てこない人生は枯れ塵も残らず
コロナ禍の運動会は三十分 されど踊る子見るは嬉しき
草花を植えたくなりて人生は自分以外の呼吸をともに

10/20火
息子氏は食事の後の銭湯が楽しみと言う 我も楽しい
10/21水
家に居て同じ疑問を反芻す今日は秋晴れ思案の散歩
10/22木
店に入り「麺少なめ」と言えてればこんな後悔 夜まで後悔
(「塔」短歌会11/20締切投稿分)
10/23金
知り合いの歌の取り組み目に触れて応援をする嫉妬だってする
散歩中ふと幼子の声がして我が子を思い悲哀飲み込む

10/24土
日々飲めばビール一缶酔えはせず重ねて濃い目の酒を求める
10/25日
子と二人テレビもつけずそれぞれにゲームに読書、励む日曜
10/26月
痛みして首の後ろを手で払う針を無くしたスズメバチ這う
(「塔」短歌会11/20締切投稿分)
10/27火
家からの散歩道変え方位変え歩き尽くして次はどこ行く?
10/28水
手にペンを持てば歌さえ詠めるよと嘯いてみて杯を傾く
10/29木
人の顔区別つかなくなっていく誰も彼もが同じ印(しるし)に
(「塔」短歌会11/20締切投稿分)
10/30金
将来の生活担保されたれば心は軽くジャンプ力増す
将来の不安が霧散した時に味覚は開くカツ丼うまし

(「塔」短歌会11/20締切投稿分)
10/31土
鎮かなるギンナンの匂いする道で調理後の姿思い喉鳴る


いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。