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冴えぬ三月、白く乾いたキッチンに立つ(28首)

近況

仕事がうまくいかず。
子どもと週末に会っては、毎回、別れた後の寂しさに耐えきれず。
それらが遠因なのか体調が優れない日が多い。
まさにこれを書いている前日から微熱があって、すわ、流行りのやつか、と思ったけれど、すぐに落ち着いた様子。

気分を変えるため、最近、料理をしてみようとすることがある。
ちょっと煮る、ちょっと焼く、といった程度のことだけれど。
これまで料理をした経験がほとんどない。まさか四十も半ばになって、料理をすることになろうとは。止まない雨はないので、5月には好転していると思うけれども。しんどいなぁ。

3月後半の歌

3/16月
昨夜より体が言うよ「逃げ出して」薬を一錠重ねて二錠
(「塔」短歌会4/20締切)
咲く頃にビルにぶつかる強き風 “ドン”となる音集中つぶす
咲く頃にビルにぶつかる強き風 “ドン” となる音集中つぶす
(「塔」短歌会4/20締切)
苦しみを吐き出す相手ずっと無く 紙や印鑑聞いてはくれず

(「塔」短歌会4/20締切)
3/17火
他人様(ひとさま)の原稿前に唸り続け絶えぬコーヒー、夕に目眩す
憎しみとそして恨みが針となり内から生えて身は穴だらけ
(「塔」短歌会4/20締切)
3/18水
目の前の仕事進まぬ毎日は今日やることが昨日と同じで
(「塔」短歌会4/20締切)
気が狂うほどに相手を憎んでもどう憎んでもやつは子の母

3/19木
釘眺め店内一周した後に座りし台の玉が暴れる
(「塔」短歌会4/20締切)
目の前のやきとりの串口運ぶ ふっくらとしたレバーひろがる
→目の前のやきとりの串 口運ぶ ふっくらとしたレバーひろがる
(「塔」短歌会4/20締切)
手にとったレバー串から歯で剥がすふっくらとしたレバ味ひろがる

3/20金
向島百花園へと行かんとす 子は興味なく手前で道変え
3/21土
豚肉とほくほくじゃがいも炊き合わせニンニクと塩入れていただく
3/22日
洗濯に行くまで逡巡二十時間酒を飲んではつまみを作り
寂しさの気持ちと子の顔重なって顔浮かべるとさみしくなって

3/23月
子と共にお誕生日が祝えないそんな未来がこれから続く
別れたる事実を知らぬ人たちにあらぬところで出会ってキョドる
(「塔」短歌会4/20締切)
3/24火
仕事場に向かう途中に立ち寄ったスープ屋コロナで開いてはおらず
時戻す? 息子に毎日会えねども 息子がいない世界は嫌だ
仕事での成果を出してこその未来(さき)腹を括れば呼吸は深く
(「塔」短歌会4/20締切)
奴としか呼べぬ相手に変わっても奴はやっぱり息子の母で
3/25水
原稿の完成形が見えなくて画面の前で数時間過ぐ
3/26木
王将(おう)ならば四方八方塞がれてこの現状は何手詰みかと
→王将(おう)ならば四方八方塞がれたこの現状は何手詰みかと
(「塔」短歌会4/20締切)
3/27金
決め事は一日一首だけれとも心マグロの日の徒労感
3/28土
外出るな! 不要不急で出かけたら思いの外に人は溢れて
3/29日
子と遊びバイバイのあと狂おしく白く乾いたキッチンに立つ
四十も半ばになってようやっとツマミくらいは作ってみむと

3/30月
37.5度(ななどごぶ)続けば検査受けてくれ 37度と5分を行ったり来たり
3/31火
コロナかなコロナじゃないと言ってくれ急な微熱が続きドキドキ


いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。