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格闘技者が強さを目指す過程で得た学び #ほぼ日の學校

「ほぼ日の學校」アドベントカレンダー21日目です。

今日、視聴したのは、ちょうど読み終えたばかりの『強さの磨き方』の著者、二重作拓也さんと総合格闘家の高阪剛さん、糸井重里さんの鼎談です。

二重作さんの講義は、去年のアドベントカレンダー期間中も視聴しましたね、視聴した後、聞いた話を息子にも伝えましたね、そういえば。

授業紹介

ぼくたちが「格闘技」から学んだこと。
高阪剛 (元総合格闘家、ALLIANCE代表)
二重作拓也 (格闘技ドクター)


格闘家の人はどうやって「強さ」を身につけるのか。練習や試合では何を考えているのか。元総合格闘家の高阪剛さんと格闘技ドクターの二重作拓也さんをお迎えして、おふたりが格闘技人生を通して学んできたことをうかがいます。聞き手は糸井重里。「ほぼ日刊イトイ新聞」で掲載された『格闘家たちの知性と野性。』の「ほぼ日の學校」バージョンです。

繰り返す失敗をどう見つめるか?

この鼎談のはじめのほうの話題にして、一番興味深かった話がこれです。

二重作さんはカラテの試合で、相手がダメージを追っていて、相手に畳みかける時、逆に上段膝蹴りをあごにもらって、KOされることがよくあったそうです。

そのため、道場では、上段膝蹴りをやらせて防御する練習をしたそうです。しかし、その練習は、相手の膝蹴りが見える状態での防御の練習です。

実は、たたみかける時に、タイミングよく上段膝蹴りが入りやすい格好をしてしまっていたと言います。この失敗をどうにかしようとする時、上段膝蹴りでKOされたという場面しか注目していないと、間違った解決方法を探ってしまうという話です。

二重作さんは、上段膝蹴りをくらう一つ前、二つ前、三つ前の動作をさかのぼって、狙われる動作の起点になる箇所に気づいて、自分の構え方を変えたそうです。

この話は、格闘技の試合の話だけじゃないですよね?

私も普段、まずいパターンにはまってしまっていると思うことがよくあります。

仕事で、同じように悔しい思いをすること、全然違う案件や仕事外の活動なのに、同じように嫌なタイプの人間と接点ができ、うまく立ち回れなくなってしまったり。これは、きっと自分の失敗パターンに呼び込んでしまっているんでしょう。

私がこの動作をさかのぼる話を割とすんなり理解できたのは、大学生の時、初心者ながらに柔道部に入ってしまったからだと思います。柔道は、明確に「崩し」という投げる前の動作を理屈にしています。格闘技経験なんてほとんどないのに、事前動作、事前動作の前にも動きがあって、それを練習に組み込むことを知っているわけです。もちろん、小学生から柔道をやっていた同級生たちは、高校生までに量をこなす練習をしたり、筋トレに夢中になったりしていて、練習時間が取れなくなった大学生になって、はじめて頭で考えることが先行しているわけです。

彼らと違い、量に裏打ちされた強さも、感覚もないので、私自身が強くなることはありませんでしたが、初心者の私にも理屈を教えてくれ、この時の経験が、生きる上で大事な視点になっていると今でも思っています。すごく弱かったんですけど。

だから、高阪さんのこの感じもよくわかります。

高阪
そうですね そのために
その前に自分が何してたか
相手に何をやらせてたか
ということが起こったりするんで

普段の仕事や生活で、繰り返す種類の失敗は、失敗する前に何をしていたか、そして、さらにその前に何をしていたのか? この辺を探ることをしないと、これからの人生で、また後悔する場面が出て来ちゃいますね。きっと。いい話を聞けました。

指導者タイプ

一つのことを獲得しようとしてうまくいかないこと、諦めたか、忘れたころに、それが解決してしまう話も興味深かったですし、格闘技者とチームのオーナーを兼任する話からの、プレイングマネージャーの難しさ、中小企業の経営者、野球の監督、の話になったことも、頭では理解できる興味深い話でした。

またそこから、人に指導するタイプの違いも興味深い話でした。

高阪さんは「自分が選手だったら、どうかな?」という視点で、選手に声掛けするそうですし、選手としてのキャリアが上手の選手や、自分に経験のないカラテ以外の選手と接する二重作さんは、ひたすらに質問するというスタンスを取るそうです。ま、自分の経験に照らせば、お二人ともに、そうせざるを得ないですよね。

二重作さんのやり方の場合、質問を重ねすぎると、選手が考えすぎて、体が動かなくなるので、一回の練習では、練習テーマは一つに絞るそうです。選手がやってみて、できたことについて、後に理屈を説明するそうです。頭で理解することより、できることが重要ですから。それに最初から、答えを教えると、本人が考える時間も奪ってしまいます。

この指導のアプローチの違いも、他人から借りたものでなく、自分の経験を活かしつつ、やってるというのは当たり前だけど、大事なことですよね。借り物の知識じゃ、しっかりと伝えられませんし。

大きな夢、小さな夢の話

大きい夢はなかなか叶わない、なかなか自分に近づいてこないし…。だから糸井さんは、夢は小さいほうがいいんじゃないか? と考えているそうです。

二重作さんが、サッカーや野球は、その競技のプロになりたくて始めますが、格闘技は「世界一強くなりたい」から入って、それを実現できそうなところ(競技、道場)に入るという違いがあると言います。格闘技者は、競技を続ける中で、現実を見せつけられて、夢がサイズダウンしていく。

世界一強くなるという遠くの山を見つめて、日々のトレーニングに勤しむという、普通の夢なら難しいことを格闘技者は同時にやるわけです。例えば企業が「世界一の売上を作る」「世界一利用者が多いサービスを作る」という目標を立てるとすると、それと日々の活動を同時に行うと、絶対に日常が破綻しますよね。

時間のとらえ方

高阪さんは、世界一強くなるため、試合で結果を出すために、試合の調整を考えて、一週間という単位で時間をとらえることが多いそうです。二重作さんは、医者と格闘技者の両方を目指していた学生の頃から、とにかく時間がなかったので5分を意識しているそうです。ナースが後ろを向いた瞬間に、ハイキックの練習をしちゃうくらい、短い時間をいかに活用するかを考えてこられたそうです。

私はどうだろう? と考えてみるど、これまでのシステム開発の仕事も、今の日々に書く作業も、30分や1、2時間でできることを何個か目の前において、それを一日でどうこなすか? という思考なんで、一日ですね。時間のベースということも人によって違いますし、それが私にもあったことにビックリしながら、お三人の話を聞いていました。

感想

ほぼ日の學校のアドベントカレンダーをやるために、毎年12月は、まとめて授業を視聴してるわけですが、いろんな業種の方、業界、大御所からルーキーまで、経験や実績の違いにもよらず、同じ法則、共通項を講師の背景に感じることがあって、毎日、おもしろく視聴しています。

視聴しただけでは、結局、自分で試せてないことばかりなので、私が身についてることはまだ1mmもないんですけど、師走は、何かちょっと達観した気になれる気がします。今年もアドベントカレンダーが終了するまでのあと数日、「ほぼ日の學校」に没入したいと思います。


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