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あにの 当たりの話

 どうも。

 サンタさんが次男にくれたマインクラフトにどっぷりはまってすっかり筆が遅くなってしまったあにです。

 あにが生成し土地を開梱し家や砦を作っている世界に、長男と次男が乱入してきて勝手に家を立てたり壁をつくったりするので

「お前たち! 御家人が鎌倉殿の許可なく勝手に都を築くでない!」

と叱ったのですが

「えー、ここ鎌倉じゃないじゃん」

「カマクラ殿じゃなくて、マイクラ殿?」

というので晴れてマイクラ殿を襲名することになりました。

 今は墾田永年私財法を発布し、山を切り開き国土を増やしているところです。勉強になるなぁ。まさかこの後時代を遡り、班田収授の法が発布されるとも知らずに……。公地公民制バンザイ。


 さて、当たりの話です。

 ここでも万度申し上げておりますとおり、今でこそ怠惰と平穏を愛するあにですが、昭和の子どもらしくそれなりにわんぱくな幼少期を過ごしてきました。俺も昔はやんちゃでよぅ……というやつです。


 それはあに少年が眼鏡をかける前。幼稚園に入る少し前のお話。

「あぃくん! あぃくん!見ててみな。すごいよ」

 ある日お隣に住む1つ年上の幼なじみのお兄ちゃんケンケンが、舌っ足らずで「あに」を発音できない呼び方で、あに少年を呼び近所の公園に連れて行きます。

 あにとケンケンが住んでいる借家の集まる一角は、すぐ横が公園に面しているという、子育てには最適な環境だったのですが、間にフェンスが立ちふさがっているため、公園に向かうにはまず公園とは反対側の道路に出て、一度大通り(と当時は思っていたけど今見てみると車がすれ違うのも大変な住宅街の道路)に出てからぐるっと回って公園の入口に行くか、借家の集まりの隣りにある当時すでに築20年は過ぎていたと思わせるボロアパート(先日見に行ったらまだ残っていて驚きました。下手すると戦前の建物?)の敷地を通り抜けて行く必要がありました。
 ところがケンケンの家の庭先のフェンスには大きな穴が空いており、そこを通れば大幅なショートカットになるのです。
 怠惰のための努力は惜しまないあに少年でしたが、さすがにその穴を開けた犯人ではなく、物心ついた頃から当然のようにある子どもたちの通り道でした。
 その数年後ケンケンの家がプレハブを増築することで、そのルートは使えなくなってしまい、小学生になったあに少年と幼なじみの悪ガキ達の手で新ルートが開拓されるわけですがそれはまた別のお話。

 公園についたケンケンは、愛用の赤いバケツに水道で水を汲み始めます。
 なんでしょう。今日はこの水を使って砂場で泥遊びでしょうか。水路を作って流すのでしょうか。それとも池を作るのでしょうか。
 しかしケンケンは砂場の方に向かおうとしません。

「見ててごらん!」

 いっぱいまで水の入った赤いバケツを右手に下げるケンケン。そして何を思ったのかそのバケツを縦にブンブンと振り回し始めるじゃありませんか! あに少年は思いました。おいおい、いくらまだ冬が来る前とはいえ、さすがにもう水遊びはできませんぜ。そんなみずでいっぱいとバケツを振り回したら全部こぼれて水浸しになっちゃう……水浸しに………ならないですと!?
 なんで!? 振り回した腕が上に上がった時、バケツの口は間違いなく下を向いているのに、水が溢れてこないではないですか! りんごは木から落ちるのに、雨は空から降ってくるのに、バケツの水は落ちてこないではないですか!

「すごいでしょ!『えんしんりょく』っていうんだよ!」

 ケンケンがなにやら難しいことをいっておりますが、あに少年にはなんのことやらわかりません。おそらくケンケンは幼稚園で聞いてきたのか、テレビでガチャピンあたりがやっているのを見て真似してみたのでしょう。

 あに少年は思いました。

 ボクもやってみたいと………!

「ボクにもやらせて! ボクもやる!」

 バケツを振り回すケンケンに駆け寄るあに少年。

 迫りくる水満載の赤いバケツ。

 その後のことはあまりよく覚えていません。

 暗転する視界。

 眼の前に飛び散る星。

 笑う母。

 怒るケンケンの母(めっちゃ怖い)

 そんくらいの傷、下手に縫ったりしないほうがきれいにくっつくんだよという母の野性味あふれる医療方針により、マキロンをぶっかけられるあに。

 そんな兄の顔には、今でもルフィのじいちゃんモンキー・D・ガープと同じところに古い疵痕が残り、それをたどると凶器となった赤いバケツの寸法が偲ばれる仕組みになっております。

美術2の人間がトレパクしたモンキー・D・ガープ


 さて、当たりの話です。

 ここでも万度申し上げておりますとおり、今でこそ怠惰と平穏を愛するあにですが、昭和の子どもらしくそれなりにわんぱくな幼少期を過ごしてきました。俺も昔はやんちゃでよぅ……というやつです。


 それはあに少年が眼鏡をかけるようになった少し後。小学生になって少しした頃でした。

 幼なじみの江口くん兄弟(1こ上のお兄ちゃんと同い年の弟)と、ケンケン、そしてどんくさいおとおとも混ぜて家の前で遊んでいた時の話です。

 その日のメニューは水鉄砲を装備した鬼から逃げ回る鬼ごっこハードモード。

 小学生+水鉄砲+鬼ごっこ

 全員テンションだだ上がりです。

 やがて水鉄砲を装備した鬼のお兄ちゃんに挟まれる江口弟とあに少年。

 こっちから来る鬼から逃げるために振り向き走るあに少年。

 あっちから来る鬼から逃げるために振り向き走る江口弟。

 それはそれはみごとな正面衝突でした……。


 その後のことはあまりよく覚えていません。

 暗転する視界。

 眼の前に飛び散る星。

 誰かの「やばい! 血が出てる!」という叫び声。

 笑う母。

 なぜかなくおとおと。

 同じ正面衝突で、江口弟はコブができる程度で住んだようですが、あに少年は眼鏡がざっくり左目の下に食い込み切り裂き、数針縫うことに。

 そんな兄の顔には、今でもルフィと同じところに古い疵痕が残り、それをたどると凶器となった当時の眼鏡の形が偲ばれる仕組みになっております。

フリー素材があった

 以上あにの幼少期の色々当たっちゃった話でした。


 ところでガープとルフィと同じところに傷を持つあに、もういっそのことモンキー・D・アニを名乗ってもいいのではないでしょうか?

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