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相関と因果を混同する人

当たり前過ぎて退屈ですが、実際には頻繁にあることを書きます。

昔、カメラ事業の業績が悪くなった時に、経営企画室メンバーがゾロリとやってきて、報告会のようなものがありました。そこで、彼らから「社内の事業部別の人事異動率を調べたところ、あなた達の部門は人事的な流動性が低い。業績が悪いのは人材の滞留が原因だということが判明した」という説明がありました。そして、業績と人事異動率をグラフ化して、綺麗な相関を見せてくれました。きっとこのグラフが出来た時に、解が見つかったと膝を打ったことでしょう。でも、彼らは大きな過ちを犯していました。それは、競合他社との比較という視点を忘れてしまっていたことです。人材移動率という面でいえば、入社から定年までカメラ一筋の人の割合は、大手カメラメーカーの方が遥かに大きいのです。社内でデータが取りやすいもの、しかもB2BとB2Cを横並びで比較してしまった過ち。経営戦略の関わる頭の良い人たちですら、そんな間違いをサラッと犯してしまうことがあります。

もう一つの例は、ブランド認知度とシェアは相関がある、だからブランド認知をあげればシェアが上がる、だから広告宣伝して認知度をあげればシェアが上がる、という理屈。上記と同じで、相関はあっても、そんな単純な因果関係ではないということはちょっと考えればわかりますよね。

相関が見つかると、そしてそれが綺麗な相関であればあるほど、回答を見つけたような気がしてしまうのですが、相関と因果関係はイコールではないことを、肝に命じておいた方がいいです。

当たり前過ぎて、そんな過ち犯さないと思うでしょう?でも、意外とよく見かけるんです。特に、上司の立場からすると、物事を単純化してスパッと言い切る部下の方が仕事ができる奴に見える傾向があるので、尚更です。

風が吹いても、桶屋が儲からないことの方が、多いのです。

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