生活の見直し

家内が退院して2週間が経過した頃には、鎮痛剤を飲まなくとも痛みをなんとか我慢できる状態をキープしていました。ただ体重が平時よりかなり減っているため、無理が禁物な状態が続きます。

入院前まで、家内はがんの成長を促す食材はストイックに避けていました。特に塩と砂糖を取らないことを強く意識して。入院前に読んだがん関連本を通じて、砂糖はがんの栄養分になり、塩分はがんの新陳代謝を促進するとわかったからです。
砂糖なしの食事は何とかなるものの、塩分なしの食事を組み立てるには相当難易度が高いです。
無塩味噌も入手しましたが、なんとも言えない味でした。
食事の献立にはいつも悩みました。

しかし、縫合不全による腹膜炎であの世に行きかけ、その後つらい入院期間を経たことから、家内は入院前のようなガチガチの食事制限をしない考えになっていました。といっても好きなものを無頓着に食べるのはいけないので、セカンド・オピニオンのクリニックで食材のアドバイスを受けました。それにより、乳製品を取らないこと、不安定な腸のため繊維質を避けることを心がけました。
ちなみに、乳製品にはIGF-1というがんを成長させる因子が含まれているとのこと。

もし縫合不全もなく順調に退院していたら、入院前同様にガチガチの食生活を続けて、かつリンパ節への転移有無ばかりを気にしていたと思います。
ストーマ閉鎖という想定しなかった新たな手術に向けて、無理をせずに体重を増やして体力をつけていくことを目標にしました。

緑が鮮やかな5月に入りました。2月から学んだ気功はしばらく自宅近辺で実践していましたが、良い空気を取り入れた方がいいと思い、車でいろいろな公園を探しました。

気功も最初はほんの少しするだけで精一杯でしたが、4月末あたりから時間も増え体重も退院時から3Kg増えました。
それでも手術前より7Kgは落ちていますが、少しずつ体重を増やして体力をつけていくことができたのは嬉しく感じました。

この時期の思い出として、大きな公園で気功をした後、餃子の王将に立ち寄りました。
定食についていたミニラーメンを家内が少しだけ食べた時、微笑みながら美味しいと言いました。これまでは普通にラーメンを食べていたのですが、小麦はがんを誘発しやすい食材であるため一切口にしませんでした。
この時、久しぶりの味に心が喜んだのでしょう。

家内を通じて、普通に食べたいものを食べれることは、幸せの何ものでもないと自覚したときでした。

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