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イタリア語検定試験(CILS B1)の受験記

こんにちは、のぐちです。

先日、初めてCILS(イタリア語検定試験)を受験しました。日本のイタリア語検定協会が実施する実用イタリア語検定の5級と4級を受験した経験はありましたが、CILSはそれを遥かに超える大変な試験でした。

今回の記事では、CILSの簡単な概要を説明した後に、実際に自分がCILS B1を受験した時の勉強法や問題を解くコツ・感想などを紹介していきます。

CILSの試験勉強、なかなか大変でした

CILSとは?

CILS は、国立シエナ外国人大学の主催によるイタリア語の検定試験です。イタリア語学習者、イタリアに関連する仕事に就かれている方やその学習をされている方、またはイタリア語能力を測定されたい方を対象にイタリア語の言語コミュニケーション能力を測定し、認定することを目的としています。また、合格者に交付される CILS 合格証明書は、イタリア外務省との協定により、イタリアの国立大学の多くの学部・学科で入学に必要なイタリア語の能力を証明するものとして用いられています。イタリア外務省公認の試験として、在外イタリア文化会館を CILS 検定試験の優先会場とし、世界中で広く実施されています。

https://www.unistrasi.it/public/articoli/3220/CILS%20JP.pdf
  • ペルージャ外国人大学が主催するCELI

  • ダンテ・アリギエーリ協会が主催するPLIDA

といったイタリア政府公認のイタリア語検定試験もありますが、CILSはそれらの中でも最もメジャーな試験かなと思います。(過去問や教材・情報なども多く、勉強もしやすいかと思います)

試験内容

各レベルともヒアリング、読解、文法、作文(以上筆記試験)と会話(口頭試験)の 5 科目から成ります。児童を対象にする A1レベルの検定試験には文法に関する科目の試験がありません。

https://www.unistrasi.it/public/articoli/3220/CILS%20JP.pdf

受験料

レベルによって異なり、A1の15,000円から始まり、C2は27,000円となっています。イタリアで受験する場合は、若干金額が異なるようです。不合格の科目のみを受験する場合は、その科目分の受験料を払えば大丈夫です。

※詳しい受験料については、下記のページをご確認ください

試験会場・日程

年に 2 回 (6 月と 12 月の月初め)、イタリアおよび世界各国で同日に実施されます。

https://www.unistrasi.it/public/articoli/3220/CILS%20JP.pdf

合格基準

各レベルとも 5 科目すべてが合格点(各科目の満点は 20 点で、うち B1 レベル以上は 11 点以上が合格点、A1/A2 レベルは各科目 12 点満点、7 点以上が合格点)に達していれば合格となります。合格点に達していない科目があった場合は、18 ヵ月以内に再受験する場合に限り、試験結果は次の試験日に持ち越すことができます。合格点に達しなかった科目のみ受け直しができるため、すでに合格点に達した科目の受験は免除されます。

https://www.unistrasi.it/public/articoli/3220/CILS%20JP.pdf

試験結果

試験終了から約 3 ヵ月後に、インターネット上で合否が確認でき、各試験会場へも合否の結果が通知されます。合格された方には CILS 合格証明書が交付され、各試験会場を通じて受験者に届きます。また、合格証明書には有効期限がありません。

https://www.unistrasi.it/public/articoli/3220/CILS%20JP.pdf

CILS レベル説明

A1(基礎)

自己紹介や他者の紹介ができ、個人的な話題(どこに住んでいるか、何を持っているか等)について質問し回答できる。問題に使われる語彙は約850語で、うち600語は基本語彙。イタリア語の授業を約50–100時間受講したレベル。

https://iictokyo.jp/italian-proficiency-test/cils/

A2(初級)

身近な話題(例えば家族、買い物、仲間、場所、仕事等)に関する言い回しや表現を理解し使うことができる。問題に使われる語彙は約1200語で、うち700語は基本語彙。イタリア語の授業を約100–150時間受講したレベル。

https://iictokyo.jp/italian-proficiency-test/cils/

UNO - B1(中級)

日常生活のなかで頻繁に遭遇する場面で適切な言葉が使え、イタリア旅行が問題なくできる。イタリア語の授業を約150時間受講したレベル。

https://iictokyo.jp/italian-proficiency-test/cils/

DUE - B2(中上級)

日常生活の、より広範囲な場所に対応でき、また勉強や仕事において的確に意志の伝達ができる。イタリア語の授業を約250–300時間受講したレベル。合格者はイタリアの大学入学時のイタリア語試験を免除されます。

https://iictokyo.jp/italian-proficiency-test/cils/

TRE - C1(上級)

日常生活のみならず公の場面や仕事でも状況に適したイタリア語を使いながら意志の疎通ができ、イタリアの機関や企業等と口頭および書面で交渉することができる。イタリア語の授業を約400–500時間受講したレベル。

https://iictokyo.jp/italian-proficiency-test/cils/

QUATTRO - C2(最上級)

公式、非公式のあらゆる状況だけでなく、仕事上でもコミュニケーションがとれる。ネイティブスピーカーと同等の能力を求めるものではありませんが、イタリア語を自由自在に使いこなす語学力が必要です。イタリア語の授業を約750–1000時間受講したレベル。

https://iictokyo.jp/italian-proficiency-test/cils/


これ以降は、自分が2024年6月にCILS B1を受験した時の体験談です。

※年によって問題の出題傾向などが変わる可能性がありますので、あくまで参考程度にしてください。

【CILS B1】受験までのスケジュール

実用イタリア語検定4級のレベルで、試験の2ヶ月前に勉強を開始しました。初めて問題を見た時に真っ青になりましたので、早めの勉強をオススメします。

  • 3月7日 CILS B1の受験を決意

  • 4月2日 テキストを購入

  • 4月7日 勉強開始

  • 4月18日 受験申込

  • 5月27日 ローマの語学学校(A2レベル)に通い始める

  • 6月4日 CILS B1 受験

  • 8月18日 オンラインで試験結果を確認

【CILS B1】勉強に使用した教材

テキスト

これ1冊を徹底的に勉強しました。練習問題がたくさんあって、何回も繰り返し解いているうちに何となくコツが掴めてきます。リスニングについては、問題ページのQRコードを読み取れば、WEBから音声を聴けるようになっています。

本の中身は全部イタリア語ですが、問題を解くコツも解説してくれているので有り難かったです。

また、問題を解いていて分からない単語は徹底的に調べました。その後、同じ単語が本文や選択肢に何回も出てくるので、解きながら語彙力もだいぶ増えたかなと思います。

リスニング教材

YouTube上に過去?のCILS B1のリスニング音声があったので、寝る時に流して聴いたりしていました。どんな難易度なのか、どれぐらいのスピードなのかを知るには良かったです。

【CILS B1】各科目を解くコツ・受験した感想

聴解(Ascolto)

試験時間:30分
大問:3

  • 大問1:7つの短い会話を一気に聴き、会話ごとに正しい選択肢を選ぶ(7問)

  • 大問2:長文を聴き、正しい選択肢を選ぶ(7問)

  • 大問3:長文を聴き、13の選択肢の中で正しい回答を6つ選ぶ

各大問、2回ずつ音声が流れます。1回目の音声は、選択肢は見ずに全神経をリスニングに集中させます。2回目の音声が流れる前に2分間の休憩があるので、その間にザッと選択肢を眺めて、2回目の音声に備えます。2回目の音声が流れた後に時間があるので、マークシートへの記入はそこでまとめてやりましょう。

最初がリスニングだったので緊張しましたが、テキストで練習問題を解いて、出題形式に慣れていたので大丈夫でした。よく分からなかった問題は、絶対にあり合えない回答を削っていき、消去法で回答しました。

読解(Lettura)

試験時間:50分
大問:3

性質の異なる3つの長文問題です。

  • 大問1:まずは選択肢を読み、長文を読みながら正しい選択肢を選ぶ(7問)

  • 大問2:長文をザッと読み、15の選択肢の中で正しい回答を7つ選ぶ

  • 大問3:長文をザッと読み、正しい順番に並べ替える(10フレーズ)

大問1〜2は、テキストで練習問題を解いて慣れておけば、そんなに心配はいらないかと思います。リスニング同様、分からないときはありえない選択肢(絶対に本文に書いていない内容)削り、消去法で選びました。笑

個人的に、大問3が一番苦戦しました。

というのも、並べ替えがズレると一気に点数が取れなくなるからです。練習問題を解いている時も、できる時とできない時の差が激しく、得点率も30〜100%とかなりバラつきがありました。コツとしては、「Innanzitutto」や「Infatti」などといった接続詞をちゃんと覚えておき、「una ricerca→questa ricerca」「numerosi disagi→questi disagi」など順番が決まっているフレーズをヒントに、物語をパズルのように並べ替えていく感じでしょうか。時には想像力も必要になるかもしれません。

文法(Analisi strutture comunicazione)

試験時間:60分
大問:4

  • 大問1:定冠詞・不定冠詞・前置詞を入れる(20問)

  • 大問2:動詞を活用させる(20問)

  • 大問3:意味が通じるよう4つの選択肢から単語を1つ選ぶ(15問)

  • 大問4:文章が話されている適切なシチュエーションを1つ選ぶ(10問)

一番苦戦したのは、大問2の動詞の活用でした。

現在・近過去・半過去・大過去・未来形・条件法現在・再帰動詞など、文脈に合うよう活用させないといけません。しかも、記述式かつ回答用紙に大文字で書かないといけないので、問題用紙に下書きした回答を清書するのにも意外と時間がかかりました。

この文法パートは、とにかくひたすら練習問題を解くと良いと思います。問題数が多いので、サクサクいかないと時間がなくなります。

作文(Produzione scritta)

試験時間:70分
大問:2

  • あなたの家族の誰かを紹介してください

  • あなたの住んでいる街に友達を招待するメールを書いてください

などといったお題に沿って、80〜120文字程度の作文を2つ書きます。文章自体はそんなに長くないです。減点方式になるので、スペルがあやふやな単語は使わずに別の言い回しを考えたり、なるべく自分が知っている構文をそのまま使ったり(単語を入れ替えたり)して、正確な表現で書くように心がけました。

また、この試験前の2週間ぐらいは、毎日イタリア語の日記を80文字ぐらいで書いていました。書くことに慣れていないといざ書けないと思うので、日記はオススメです。読み返すと意外に楽しいですよ!笑

口頭試験(Produzione orale)

試験時間:10分
大問:2

  • 4つのトピックから1つ選び、試験官と会話する(2〜3分)

  • 4つのトピック(うち2つは写真)から1つ選び、そのことについて自分一人で語る(1分半)

の2つの口頭試験があります。

前者は、「あなたの仕事や勉強について」「あなたの性格の良い面と悪い面について」など、誰でも話せそうなトピックが4つあります。自分が話しやすい内容を選び、普通に試験官と会話をすれば大丈夫です。

後者は、「あなたが訪問して気に入った街について」などといったトピック、もしくは「少女が砂浜に立っている」写真などから一つを選び、選んだトピックor写真について1分半語らないといけません。写真を選んだら、写真の描写(誰がどこにいる、何がどこにあるなど)をしつつ、その写真と紐づけた自分のエピソードを話すといった内容です。自分は写真は絶対無理だと思ったので、最初からトピックで話を膨らませようと考えていました。

実はこの口頭試験だけは、何も対策ができませんでした。

試験のトピックだけ練習問題でザッと確認し、あとはぶっつけ本番で挑みました。というのも、当時ローマの語学学校に留学していて、日々イタリア語で話す機会もあったので、何とかなるだろうと思っていました。

実際の試験では、「自分の仕事」について試験官と会話し、「自分が好きな街」について一人で1分半ほど語りました。1分半は思ったよりも長くて、試験官から「もっとしゃべって」と言われる始末。とても緊張しました。

※受験者が喋った音声は録音され、シエナ外国人大学のCILSセンターに送られて採点されます。

そして、この口頭試験がCILS最後の試験だったので、これにて4時間の試験が終了。とても疲れました!!

おわりに

はい!ということでCILS B1を受験した日々を振り返りました。

使っていたテキスト片手に振り返りながら記事を書いたら、CILSの試験と同じぐらいの時間(≒4時間)がかかってしまいました。

肝心の受験結果はというと、試験から2ヶ月半後に無事合格しました。

ぶっつけ本番だった口頭試験もなんとか合格

次は来年6月のCILS B2合格を目標に、早めに試験勉強に取り掛かりたいと思います!

今回もお読みいただきありがとうございました!

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