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地方自治権と生態系サービス(廣瀬俊介)

 7月12日、午後は都庁でappeals’24による記者会見があったので、撮影班として手伝いに加わった。appeals’24では主に裏方仕事に腕をふるって参加してきた。過去の長い組織生活を振り返れば、裏方・事務作業に従事するメリットは「特等席での挑め」だったと記憶している。特等席と言えば聞こえが良いが、それは大抵誰もが座りたがらない場所だったりする。おもえば、わたしは誰もが座りたがらない場所ほど好んで座ってきた。同日の夕方に新宿で行なわれた学習会では、そういう意味での特等席に座ることになり、じゅうぶんなメリットを得ることが出来た。

 講師は廣瀬俊介氏。プロフィールは以下の通り。

 環境デザイナー(風土形成事務所主宰)、専門地域調査士(認定機関: 日本地理学会)。
1967年千葉県市川市生まれ。環境デザイナー (International ASLA)、専門地域調査士 (認定機関: 日本地理学会)。
風土形成事務所主宰、2014年4月より東京大学空間情報科学研究センター協力研究員、日本地理学会会員、東北地理学会会員、日本景観生態学会会員。東京農工大学農学部非常勤講師 (担当科目: 造園学) 、東北芸術工科大学建築・環境デザイン学科非常勤講師 (担当科目: 風土形成論) 。
前職は2014年3月まで、東北芸術工科大学大学院デザイン工学専攻環境デザイン研究領域准教授、および岩手大学大学院工学研究科デザイン・メディア工学専攻非常勤講師。
それ以前には2003年4月より2013年3月まで、東北芸術工科大学建築・環境デザイン学科准教授を務めた。
人間が生きる環境の形成のあり方を根源的かつ総合的に探究する手段としてデザインを選び、1989年以来活動を行う。
著書『風景資本論』『町を語る絵本 飛騨古川』、共著『都市環境デザインの仕事』『テキスト ランドスケープデザインの歴史』『つくること、つくらないこと』、論考「風土形成序説––浪江町の風景を読むことを通して」「思い出の風景から考える被災地復興」(いずれも『季刊東北学』誌に寄稿)など。

https://researchmap.jp/read0199902


当日の資料論文はこちら→。地方自治権と生態系サービス(PDF 415KB)

  内容は資料の紹介をもって割愛するが、研究不正義を打倒する姿勢はもとより、研究者としての社会貢献を促すという誠実な姿勢に引き寄せられる60分であった。
 「人権としての環境権」は、当noteでも何度か取り上げてきた宇根豊氏の訴えと同様に、もっとも大切なこと・ものでありながら、資本としての価値がないため疎かに扱われ壊されてきたという経緯がある。この風景を守りたいと思いつつも、生活の豊かさを引き合いに出された途端に、表情や考えを変えるなどという近代ヒューマンネイチャーが社会に跋扈していることで、「この風景」によって生かされてきた人々の人権を蔑ろにしてきた。「この風景」を壊すことで成り立つ生計を求めて対立しているのであれば、お互いの権利の主張を対話すればいいだろう。落としどころがあるかも知れない。しかしことのほか、沖縄に集中する基地建設には対話が不十分であることや、「辺野古唯一」とする政治的差別である憲法違反のもとで工事が進められており、裁判の介入があったとはいえ、それが妥当なものだと判断するには材料が幾重にも欠落していることはいうまでもないだろう。そして、さかのぼれば「この風景」は誰のものでもない。ということに尽きる。

 さて、廣瀬俊介氏の学習会を見逃した方に朗報。南山大学にて開催される日本地理学会2024年秋季学術大会の2日目、9月15日(日) 10:00~第4会場にて「地方自治権と生態系サービス ー 沖縄県への在日米軍基地の集中とその環境影響に対する問題意識に基づく考察」と題して廣瀬俊介氏による研究発表が行われます。気になる方はぜひ。


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