未来2017年2月号 鎌倉吟行二〇一六秋
鎌倉吟行二〇一六秋
看板を杜のみどりに装ひてファミリーマート由比ヶ浜店
晩秋の雨消えなづむ径のやう文学館の信綱の手蹟は
はなびらにはなびらの影深くまで紅き薔薇は「流鏑馬」といふ
長谷寺のフランス人の団体が旗の代はりに振るこひのぼり
藤袴のひとつひとつの白ひかる土産物屋の金平糖に
相模沖にけむる伊豆大島の影あるいは巨大な〈しつぽ〉持つもの
水際までの近さを言へば青年はかつての恋のことをつぶやく
宵やみを横須賀線に揺られつつ今は多摩川鉄橋――渡りぬ
昨年秋、所属欄のお仲間Sさんの企画された鎌倉吟行に参加。鎌倉へ行ったのは初めて。歌会に出したのは5首目です。
10時に現地集合だったのですが、朝早くから行動したかった私は午前中は単独行動で鎌倉文学館などに立ち寄っておりました。
ちなみに「ファミリーマート由比ヶ浜店」というのは実際には別の店舗名です。由比ヶ浜にあるのでそのほうが伝わりやすいかと思い、こう詠み込みました。