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未来2018年3月号 November Steps


          November Steps

    

ひとりでは耐へられなかつた喧噪の谷をひとりとひとりで歩く


おもしろいくらゐつるつと終電を逃して渋谷霜月の夜半

光る地図たどればカフェのことごとくカフェの跡地となれり渋谷は


さつきからこの路地に聞く呼び込みの水鉄砲とは何の喩 寒い


そろはないスロットの絵の三人が囲むガストの壁ぎはの席


端つこをわけてもらつたふかふかのホットケーキは布団にならぬ


白すぎる灯りの下に思ひ出の苦味のもとを吐き出してゐる


こころもち遅め遠めがいいらしいしづかな人との距離のとりかた


草色の始発電車は座らずにゆふやけいろの電車にねむる


11 月初めのある夜、うっかり終電を逃してしまい、渋谷で始発を待つ羽目に。どうしてこんなことになったかといいますと、歌会後の宴(2次会ともいう)がお開きになった後、最後まで残った3人で道に迷いがちな某歌人の方をホテルまでお送りしていたからです。Twitterでは「ぬばたまの松崎しげる」祭りで盛り上がっていた頃、私たちは渋谷の街を夜露をしのぐ場所を求めてしばらくさまよったのでした。

さて、毎月楽しみにしてきたNHK短歌・第3週も来る3月18日が本放送最後となります。

黒瀬珂欄さん、1年間ありがとうございました。