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量子ネットワーク技術開発の進展

COBRAの2020年1月20日の記事「Blue Dawn」で紹介された記事「New device accelerates development of extraordinary quantum networks」を翻訳しました。

※翻訳料は無しです。お気に召したらぜひサポートをご検討くださいませ。

"DARPA(国防高等研究計画局)には小規模なキメラの主要グループがいまだに存在しています。

DARPAにいるキメラグループは、こちらに一定の影響力を及ぼしています。

それが最近、量子ネットワーク技術の開発に進展という、とても厄介な内容を発表しました。"


元記事


By U.S. Army CCDC Army Research Laboratory Public AffairsJanuary 9, 2020

米陸軍の科学者たちは、一度に多くの「量子励起パターン」を保存できる画期的な量子デバイスを開発し、量子ネットワークの構築への道を開いた。

(※訳注: 量子躍起とは光子放出の離散性によって、荷電粒子(典型的には電子)が無作為に拡散すること)

量子ネットワークは盗聴される危険性が極めて低く、非常に強力な計算能力と感知機能を誇ることもあり、科学者にとっては長年探し求めてきた一つの完成形でもある。

米陸軍戦闘能力開発司令部(※訳注:COBRAのいう米陸軍研究所の一部)の量子科学研究グループは、レーザービーム内に閉じ込められ、ほぼ絶対零度にまで冷却された数百万個のルビジウム原子から構成される実証基盤型量子ネットワーク装置を構築した。

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「主要な量子情報プラットフォームは、ビットごとの容量の増加に取り組んでいる。」とKevin Cox氏は述べた。「例えば、イオンを1つずつ閉じ込めることによって計算能力を高める量子コンピュータがある。我々のプラットフォームでは独自の方法を用いて、100万個以上の原子の大集合体を使う。そして量子励起をパターンや画像として保存している。」

今、世界中で超安全ネットワーキングや超計算能力が可能となる量子装置を開発するための競争が起きています。今回の研究結果は目標達成のための大きな一歩だと言われています。

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この技術をよりよく理解するには、Cox氏は次のようにイメージすることを勧めている。「量子画像や量子波を書き込むことができる絵のキャンバス、あるいは水溜まりを思い描いてほしい。これらの画像や波形はスピン波と呼ばれ、情報として保存されるのだ。

この比喩で言えば、スピン波はキャンバスに塗られた絵の具のようなものだ。

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量子科学グループの物理学者であるPaul Kunz博士は、「長距離ネットワーク上で量子情報を遠隔転送できる量子中継器は、まだ世界の誰も実証できていない技術だ」と述べた。「だが今回の結果は、そのような装置の実現への大きな前進となった。」

量子中継器は、量子デバイスを接続する。研究者らによると、今回の知らせが本格的な「量子インターネット」への第一歩へと繋がることになるという。

「この装置の回路にはもうワイヤーを使わず、これからは光とレーザービームに代わることになる」とKunz氏は言う。

量子科学グループは、このシステムが数千とは言わないまでも数百の量子ビットを格納できる可能性をすでに示している。将来の量子情報システムの底上げのため、有望な候補だ。

レーザービームは4つのミラーで反射し、光を増幅させ一点集中させる光共振器を形成する。光はガラス面を直接通過するので、途中でルビジウム原子と相互作用する。

「光共振器はすべての量子情報を1つの経路へと方向付け、光ファイバーなどの他の通信チャネルに簡単につなげることができる司令塔の役割を果たす」とCox氏は言う。

多重容量であり、一方向光経路という極めて重要で独特な設計の量子ネットワークなのだ。

一方、他の研究グループは大容量量子インターフェース開発の研究を続けている。しかし、これだと量子情報は単一の目標方向へと制御することができなかった。量子情報はランダムな方向に放射されてしまい、使用することはおろか量子ネットワークへの統合自体が困難になってしまっている。

科学者たちは「量子もつれ」こそが、将来の優れた量子技術を可能にする重要な資源だと述べている。量子もつれとは、ある量子物体を観測すると、別の量子物体にも瞬間的に影響を与える現象のことです。

「2つの物体は量子的に結合しているということであり、これと同等の繋がりは普通の世界には存在しない」とCox氏は言う。

よって、量子もつれの生成、制御、利用の方法について量子科学グループの研究者たちは注目している。

「量子もつれを使えば量子セキュア通信、強力な量子センサーや量子ネットワークなどが実現可能となる。従来の技術では決して不可能だった技術だ」とCox氏は言う。

ハッキング不可能な量子ネットワークは、暗号技術の流れを変えてしまう可能性がある。

量子もつれによる技術的進歩の可能性は非常に大きい。これは今後10年から20年の間に「量子科学」が始まるまでの重要な第一歩であることを忘れてはならない。

「戦闘技術をベースにした量子技術は、戦争の仕方に大きな変化をもたらす可能性がある。」「兵器中に、超強力な量子コンピュータへの遠隔アクセス、盗聴不可能な安全なネットワークと通信、正確なタイミングとナビゲーションと精巧なセンサー、敵の検出機能などを加えることができる。」

現在、米陸軍は原子の量子特性を利用した新しい技術開発に取り組んでいる。

「原子の蒸気を利用することですでに最も精密な時計、磁場センサー、電場センサー、回転センサー、加速度センサー、重力センサーなどが作られている」とKunz氏は言う。「しかし、量子もつれを活用することで、これらをさらに劇的に改善することができるのだ。」

将来の量子テクノロジーの発展には世界中の科学者から注目が集まっている。

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「この実験装置は世界で唯一独自の実験装置である。本論文で報告した研究は非常にエキサイティングなものだ」とKunz氏は言う。

「強力な光結合と大容量多重化という2つの重要な要素を1つのシステムにまとめるという偉業を成し遂げた。これらの要素を量子もつれの生成や分配に結びつけることで、量子技術の大躍進となるだろう。」


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