Savior Being

「SB08y-A3、今何時だと思ってるの! 明日から一六歳なんだから、いい加減一人で起きられるようになりなさい!」
「おはよう、佐竹くん。これ……誕生日プレゼント。明日学校休みだから、今のうちに。ね、SB08y-A3くんって呼んでもいい?」
「おかえりなさい、SB08y-A3お兄ちゃん! 明日の晩御飯、わたしが選んだレストランでもいいよね?」

 佐竹SB08y-A3、その十五歳最後の日の断片だ。
 いつものように床についたはずだった。
 だが今、主観時間において十六歳となった彼はもうベッドの上にはいない。
 
 液体で満たされたシリンダの中に浮かんでいるのだ、全裸で。

「おめでとう。今日が君の誕生日だよ、検体SB08y-A3」

 そんな名前の人間はいるはずがない。

(でも、俺は十六年そう呼ばれてた)

「早速だが我々を、世界を救ってほしいんだ。ヒトの救世主兄弟よ」

 モニターに映し出された彼の頭部には、かわいらしい猫耳が生えていた。

【続く】

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?