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渡部真理子「うっかりメヌエット」(2022)


勤務している学校の初見授業課題を作成したり、ピアノ作品を初演して頂いたり、2021年はピアノ曲とご縁がある年でした。
NODUSのメンバーとこの企画を考えていた頃、作品を作るにあたって一番先に思い浮かんだことが、「子供のための作品」でした。


概要

本作の題名である「メヌエット」は、多くの作曲家がピアノ曲に残しています。
メヌエットは割と穏やかな性格の曲ですが、本作は、メヌエットを学んでいる(踊っている)はずがなんだかわけがわからなくなり、メヌエットのようなメヌエットではないような踊りを踊りながら、自由自在にくるくると回っている子供をイメージして作りました。
また、大人が当たり前のように弾いているフレーズでも「手の制限」のために小さな手にはまだ難しいことを、音楽的あるいは教育的にどうしたら良い方向へもっていけるか、なども考えながら作りました。


楽曲について

4オクターヴの中で、シラ(2度)ラレ(4度)レソ(5度)などを多用しましたが、ハイドンの音型にとらわれずに即興的な音楽となっています。

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メヌエットのリズムが顔をのぞかせたり、ハイドン音型が点で現れます。

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ハイドンの音型の和音が全て揃ったり、シ(H)の音→(B)、ラ(A)の音→(As)に変化したり。

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うまく踊れなくてよろけたり、制御不能になって転びそうになる様子だったり。子供の動きはとても面白く、予測不可能なことばかりです。

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現在指導している音楽教室の小学生、中学生の生徒たちに弾いてもらうことを想定して書き進めました。
解説を読んでから聴いたり、音を先に聴いてから改めて解説を読んだり、いろいろな聴き方があると思います。例えば教師と生徒が一緒に初めて聴いて、遊びながらどこに「シラレレソ」が隠されているか、あらゆる「シラレレソ」を探してみてから、その後解説を見ることなどもおすすめします。

さらに詳しい解説などは、3/31の動画配信後に個人のnoteにて更新予定です。

https://note.com/marikowatanabe


様々な作曲家が用いたハイドン音型や音名象徴を使って曲を作ってみることなど、この曲を通して作曲への興味を持ってもらえたら嬉しいです。


作曲者:渡部 真理子のプロフィール


宮城県仙台市出身。仙台白百合学園高等学校を経て、東京藝術大学音楽学部作曲科卒業。同大学院音楽研究科修士課程作曲専攻修了。2013年「奏楽堂モーニング・コンサート」、2017年「創造の杜〜藝大現代音楽の夕べ」において、オーケストラ作品が藝大フィルハーモニア管弦楽団により初演。学内にて長谷川良夫賞、卒業時にアカンサス音楽賞、修了時に大学院アカンサス音楽賞受賞。作曲を喜久邦博、八島秀、小島佳男、北村昭、山本純ノ介、安良岡章夫の各氏に、ピアノを澁谷由起、安田里沙、手塚真人の各氏に師事。
現在、桐朋学園大学音楽学部、桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大学音楽学部附属子供のための音楽教室非常勤講師。21世紀音楽の会会員。プレゼンテーション同人。作曲家・作品・演奏家・聴衆・演奏空間の結び目となるコレクティブ《NODUS》メンバー。


https://note.com/marikowatanabe


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