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同人誌の装丁覚書① プリントオンとの出会い

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同人誌の装丁覚書(マガジン)

はじめに

定期的に同人誌を刷るようになってから四年程が経ちます。二次創作を書いたり、同人誌を買うようになったのは中学一年生の頃ですが、四年前まで活動はほぼweb(変化と言えば個人サイトからピクシブへ移行したくらい)のみ。高校生の時コピー本を作って地元のイベントに参加した経験は一応ありますが、印刷所に注文しようと思ったことはありませんでした。
(一度だけ仲の良いフォロワーさんたち向けにワンブックスで本を刷ったことがありましたが、装丁に対するこだわりが殆どなく、コピー本の延長線上のような気分で刷った気がします。次に依頼することがあればもっとちゃんとコンセプトを決めて印刷したい)

そんな私の意識を塗り替えたのがプリントオンでした。

当時のわたしは刀剣乱舞-ONLINE-にドハマりし、10年ぶりに夢小説が好きだった頃の気持ちを取り戻していました。 ※審神者=夢主か否かについては諸説ありますが、ここでは同じものとして扱います
とにかく推しの刀剣男士が私の考えた少女審神者と共に大変なことになる話が読みたくてたまらない。夢小説とは基本孤独な戦いです。わたしが「視」た少女審神者は、わたしが物語にしなければ永遠に形になることはありません。だけどWEB連載って続いた試しがないんだよなあ……書くなら結末まで一気に書きたいなあ……。

そう思っていたときにプリントオンのホームページを見て「これだ!」と閃きました。web連載が嫌なら締切を設けて最後まで書き切った後、一冊の本にしたらいいのでは? ということに……。

この記事を読んでくださっている方は殆どご存知かと思いますが、プリントオンは本のセット商品や特殊加工が大変豊富な印刷所です。箔押しや小口染め、ブックケースといった、他の印刷所では大部数でしか取り扱いのない商品・サービスを10部から注文できます。 ※現在は1冊だけの注文が可能となっているようです

仕様

そして一念発起した私はオンリーイベントに申し込み、一冊の同人誌を頒布しました。それがこちら。

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▼本の仕様(A6文庫/全238ページ)
セット:文庫本セット 100頁以上(新)
カバー:トレーシングペーパー41kg
表紙:コートカード180kg
本文紙:淡クリームキンマリ72.5kg
遊び紙(前のみ):江戸小染はな うすべに
イラスト:ニン子さん

この装丁がやりたくてプリントオンに絶対早割で入れる! と原稿していた覚えがあります。
この物語の舞台は春が永遠に続く本丸です。本丸の庭が少女審神者にとってのやわらかな繭(=優しい夢の象徴)であることを表したくて、カバーにトレーシングペーパーを用いました。

実物写真

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実物(状態があまり良くなくてすみません……)はこんな感じ。トレーシングペーパーを重ねることで敢えて二人の姿をうすぼんやりとさせました。裏表紙には割れたテラリウム=夢の終わりの象徴を配置してもらいました。思った通りの雰囲気の本になって本当に嬉しかった!!

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カバーを取るとこうなります。文字入れ等はしていないシンプルな表紙です。
写真アプリのフィルターがかかっちゃってますが、やはり元データと比べると紫がかって少し色褪せてしまった感じがします。私もイラストを担当してくれた友人もRGB→CMYKの変換がうまくできず、調整しないまま入稿してしまったため……。ここは少し失敗しちゃったかなとも思いましたが、まあ色褪せた夢もまたエモーショナルということでヨシ。(現場猫)

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遊び紙は当時期間限定フェアのサービスオプションにあったものを使用しました。舞台は和風ですが少女審神者もへし切長谷部も洋装なので、あまり和風すぎず、かつ春をイメージさせる優しいさくら色の紙を選びました。

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本文組版はこんな感じ。Wordで編集しています。行間・字間は問題ないと思うのですが、最近出した本と比べると余白が厳しいようにも見えますね……。二代前のパソコンで作ったものなのでこのフォントが何だったのか忘れてしまったのですが、当時Adobeを使用していたことがあったので小塚明朝かな……? 今見ると本文フォントにしては若干形がくどいような気もします。データが残っている本に関しては今後組版についても詳細を載せたいところ。
プリントオンの書籍標準紙の一つである淡クリームキンマリ72.5kgは厚さ・めくりやすさ・裏移りのしなさの全てバランスが良く、小説同人誌を出される方にはとてもおすすめです。以前ワンブックスで注文したときは本文用紙に厚さ90kgの紙を選んで失敗したので(当然もっと薄い紙も選択肢にありましたが、その時は厚ければ厚いほどいいだろ! と思っていたんです……)、今回は読みやすい本ができてほっとしました。

感想まとめ

・理想の装丁ができて満足
・本文用紙がめくりやすくて安心した
・RGB→CMYK変換時の色味調整はした方がいいと思った

同人誌を出した時系列順で紹介するか、印刷所ごとに紹介するか悩ましいところですが、今後も不定期に覚え書きをnoteに載せられたらいいなと思っています。

サポートが何なのかわかってないですが、していただいたらメチャメチャ感謝します。