なんとも言えない余韻を醸し出す小学校の頃の思い出

小学校5年の時の先生だったと思う。理科の先生で、思い出すたびに不思議な気持ちになる先生の言葉がある。

先生は比較的若い男の先生だった。恐らく30代〜40代前半じゃないかと思う。真面目でニュートラルな印象で、これから書く場面以外では思い出せるものがないくらいの、良くも悪くも心に残っていない先生だ。

理科の実験、確か酸化還元反応の実験で、スチールウールを燃やしたことがあった。その翌週の授業の始め、先生が言った。

「先週、みんなでスチールウールを燃やしたよね」

これがどこか遠い日の思い出を語りかけるような余韻を残す言い方で、しかも「スチールウール」という単語をすごく言いにくそうに発音していて、なんとも言えない味があったのだ。

他のクラスメイトがどう思っていたのかはわからない。授業の後、クラスの友達と話題にした気もするし、そんな話しなかったような気もする。先生のスチールウールの言い方については面白がって話したような気もするが、定かではない。

内容が何ともないだけに思い出してもどうということはないのだが、不思議と反芻したくなる場面だ。

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