見出し画像

サギとカモ

先日、「誕生日」を尋ねられて激しく動揺しました。
登録したばかりの、あるショッピングサイトから電話がかかってきて、手続きを進めるために身元確認をしなくてはならないというんですね。
確認のために名前と住所を言って、その後に「誕生日は?」と聞かれて言葉に詰まった。
私は個人情報保護の観点から、銀行や郵便局や公的機関以外は、誕生日は「テキトーに書く」よう肝に銘じているのであります。しかも、その時の気分で、一つ足したりひいたり、ものすごく適当。一貫してない。
た、誕生日?えーと、ちょっと待ってくださいね Well…let me see...
とごそごそやってたら、むこうの空気が一変。でっかく「不審!」と書かれたロケットがドカーンと打ち上げられるのをアラララと眺める気分です。
「...誕生日を聞いているんですよ?」
「警察呼びますよ!?」と同じトーンだ。
なんて書いたっけ。
に、21日?相手におそるおそる聞いてみる。
「違いますっ」
じゃ、じゃあ、22日だったかな!?エヘヘ
「DON’T YOU KNOW YOUR BIRTHDAY!!!???」
もー、マジでホント電話切りたい。でもここで切ったらきっとブラックリストに乗る。
と、同時に。
ふつふつと腹が立ってきた。
だいたいどうして、見も知らぬ相手から一方的に電話がかかってきて「本当の」誕生日を教えなきゃいけないんだ。
てか、そもそも自分が生まれた日のことなんて覚えてないけど!?
居直りである。
居直ったついでにハタと思ったんですね。
あれ、これ、もしかして詐欺電話かも!?
オーストラリアでは最近、大手通信会社と大手保険会社の顧客名簿流出事件があったせいで、詐欺電話・テキスト・メールが百花繚乱、跳梁跋扈なのです。
これは詐欺だ、詐欺に違いない!と慌てて「今出先なんで、かけなおしますーではではー」と逃げ切った。ふう。
氏名・住所・携帯番号・生年月日があれば、わりと簡単に本人にナリスマシできると聞きます。
詐欺集団にしてみれば、チッ、あと生年月日さえ手に入れば・・・というところでしょう。
「カモならカモらしくネギしょって来いやアァ!」とイマイマしく思ってるに違いない。
ワルモノ相手に自分の誕生日をごまかすという奇策で逃げ切るなんて、なかなかどうして見上げたものではありませんか。これだけは守った!と誇らしげにネギを掲げるカモの気持ちです。カモの矜持。
後日談。
その会社のHPのお問い合わせ窓口に「この電話番号からかかってきたんですが、それはほんとうにあなたの会社からであるか?」と聞いて、返事が来るのを待てず、チャットボットにも矢継ぎ早に質問を浴びせ、このままではクレーマー認定間近か。と心配になったころに「はい、それは我が社の内線です。大丈夫です」との返信が来ました。こうなってみると、私は詐欺集団を出し抜いた賢いカモ、じゃなくてただのオカシナヒトですね、つくづく残念です。お騒がせしました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?