「センスがない」と言われ続けたCGデザイナーが生き残るために実践した3つのコト
先日、佐賀県に出張へ行ったのですが、旅行支援なんとかでホテルが満室で予約できず、どこか見知らぬ街に泊まったNAオンラインのイハラです。
今年は4月にNAオンラインの立ち上げがあったんだけど、あれよあれよという間に年末。はや。
というわけで、今日は久々にデザインについてお話ししようと思います。
タイトルにもありますが、「デザイナーとセンスについて」というのが今回のテーマ。
そもそも、この「センス」って何やねん。ってことですよね。
あいつはセンスがある、お前はセンスがない…何かよく耳にする言葉。
「センスがない」って言われたらむちゃくちゃ腹が立つんですが、逆に
「センスがある」って言われたら「いや、努力してるし!」と腹が立つ。
まあ、もうどうしようもないですね、このセンスというやつは。
みなさんはセンスある派ですか?ない派ですか?
いやいや、そういうことじゃあない。
デザイナーにセンスは必要か?
まず…「センスのある人」っていうのは存在するのか?という質問について。はい、存在します。
先天的なものなのか、後天的なものなか、それはわかりませんが、明らかにコイツ…センスあるぞ…!という人はいます。
構成力、色使い、題材の表現力、着目点…対象はいろいろありますが、まあ魅力的な絵を描いたり、CGを制作したりしますよね。そういう人は。
世間一般的に「デザイナーになるような人はセンスがある」と思われているようですが、個人的にはそんなことないと思っています。
逆に「センスがなければデザイナーになれないのか」というと、もちろんそんなことはありません。
なぜそんなことを言い切れるかというと、その当事者が言っているから。
どうも、あらためまして。センスのないデザイナーだったイハラです。
そもそもなんでセンスもないのにデザイナーを目指したかというとですね、
その時は自分にセンスがないとはこれっぽっちも思ってなかったからです。
むしろ、オレまあまあイケてるんじゃね?くらいに思ってました。就活ではバンバン不採用だったのですが、根拠のない自信って恐ろしいですね。
そんなセンスレスなわたくしですが、なんとかゲーム会社に滑り込むことができまして、制作の現場に身を置くことになるわけです。
で、そこで気づきました。自分のセンスのなさに。
厳密に言うと、単純にスキルレベルが低いし、業務経験もない状態だったから、思った通りにいかないのは当然といえば当然。
ただ、何が問題だったかというと、例えば廃墟のような建物を作るとき、階段がちょっと崩れてたりするわけですよ。
で、それってスキルレベルが低くても、ちょっと削ったり壊したりできるんだけど、その削り方や壊し方にセンスが表れるわけです。
作業が単純であればあるほど、簡単であればあるほど、そういうのって見えてきちゃうんですよねぇ。
というわけで、僕のセンスレスデザイナー人生が幕開けしたわけですが、センスがなくとも仕事をしないといけません。
セ…センスがなくたって、デザインできるんだーっ!
とニューサンシャインばりに叫んだところで…
「センスがない」と言われ続けたCGデザイナーが生き残るために実践した3つのコトを紹介したいと思います。
その前に!まずは「自分にはセンスがない」ということを認めましょう。
あ、いや、センスがないってことじゃないな…「センスがあるわけではない」と自覚をしましょう。
センスが「ある」、「普通」、「ない」、の3段階で分類すると、多くの人が普通だと思います。ある人はホントに一握りだと思っています。
便宜上、「普通」の人も「ない」と表現していますが、頭のなかでは「普通」と変換してください。
それから、ここに挙げる方法は、あくまで会社組織におけるデザイナーとして働くという前提で書いています。
これを実践すればセンスが芽生える!とかじゃありません。あしからず。
ではひとつめからいきましょう。
徹底的にマネる
いきなり何かキワドイことを言ってますが、センスのない人はオリジナリティを出そうとして、結果センスのないものが出来上がりがちです。
まずは、センスあるものを徹底的にマネしましょう。ここでいうマネるはパクるとは異なるので注意です。
精密画はリアルなものを究極的にマネたものですよね。言ってしまえば、デッサンだって目の前にある景色をマネたもの。
要はあいまいな記憶やノリだけでホイホイ描くのではなく、ちゃんとしたものをちゃんと見ましょうということ。
その中には、黄金比やら色の組み合わせやら、論理的で体系的なものがあって、マネることでそれらが情報として頭に入ってきます。
その情報を駆使してデザインすれば、センスのないものはできあがらないと思うのです。だってセンスあるものをマネてるから。
資料を集めるのも同じですね。リファレンスなんて言われていますが、空想のものや非現実的なものこそ、リアルをマネした説得力は必要ですね。
ちなみに、そういうのをノリでできちゃう(独自の内部シーケンスを持ってる)人が、センスある人だと、僕は勝手に思ってます。
スピードを身につける
次に大切なこと。それは「スピード」。
センスもないのに手が遅い…では仕事になりません。
もちろん仕事の内容にもよりますが、手が早いことはアドバンテージになります。
念のため言っておきますが、「早くする」イコール「雑にする」ではありません。クオリティを保ちつつ素早く動く、それが重要なのです。
つまり、完成形をイメージして最短距離で作業を進めること。ゴールを明確にするのは何事においても重要なこと。
そして、物理的に速くすることも重要です。一日の間で作業に割ける時間を長くできれば結果的に完成が早くなりますからね。
例えば、ショートカットを覚えるだけでも作業時間はグッと縮まります。
3DソフトやPhotoshopなど頻度の高いソフトはより効果的です。
MAYAのMELを使って効率化したり、Photoshopのアクションを使って自動化したり、そういう工夫でも作業時間は短縮できます。
短時間で完成させるっていうのは、すぐに実践できることではないですが、常に早く仕上げることを意識して制作しましょう。
早さは武器!
どんな仕事でもする
最後に、ちょっとデザイン作業とは異なりますが、仕事をするという点においてとても大切なことをお話しします。
センスもないのに、「オレはこの仕事しかしません。」なんてわがままはやめましょう。いや、センスがあってもダメだけど。
会社に所属していると、デザイン以外の業務、自分の専門外の仕事を頼まれることが往々にしてあります。
基本的なスタンスとして、振られた仕事は基本的に受けましょう。
あまりの無茶振りや自分のスペックを凌駕する案件は別として、単純に面倒くさいとかイヤとか嫌いとか、それだけで判断しないでください。
どんな仕事でも勉強になります。勉強にならなかったら勉強にならなかったで、勉強にならなかったなーということが勉強になります。
そして何より「とりあえず、こいつに頼んでみるか」という風潮がうまれ、いつのまにか「こいつに頼めば何とかなる」になっていきます。
その印象は本業にも及ぶことになり、思いもよらないデザインの大きな仕事を任されることもあるのです。
さいごに…
みなさんがこれから勤務するであろう会社、もしくは現在所属している組織ごとに、デザイナー業務というのは細かい点で異なります。
でも、今挙げた3点については、おそらくどの企業であっても共通する事項でしょう。
デザイナーにとって、すばらしい絵、モデル、データを作るのは、最も重要で優先されるべきことです。
しかし、そこに至るプロセスはいろいろありますし、デザイナーの仕事もいろいろありますし、それらをひっくるめて業務と言えます。
センスがないけどデザイナーになりたい、デザイナーだけどセンスがない…そう思う人は是非この3つのコトを実施して頂きたいと思います。
「センスがあるデザイナー」と「仕事ができるデザイナー」は、また別ですしね。
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございます!
スキを押してくれたら、書いた人が穏やかな年末年始を過ごせます。
今年もありがとうございました!