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元運動選手が日本をダメにする話

この記事は前回記事の続きです。

スポーツにおいて勝敗は大切だが、ジュニアスポーツでは目先の勝敗にこだわりすぎると子供にとっていい事ばかりではなくなる。それどころかとりあえず勝てばいい、言われた通りすると勝てる、みたいな意識がついてしまい、本当の窮地の場面で自分で考えることができなくなる。

何も決められない選手達

それは、スポーツだけではなく、自分の人生の歩み方も含めてだ。親と先生が決めた高校に入って授業はほとんど寝て過ごして運動に打ち込み、大学も先生のコネクションで決められたところへ自動的に進学し、大学でうまくやれば実業団に入り、うまくいかないと全ての梯子を外される。つまりフリーターになる。

振り返ると何も自分で決めてこなかった、そしてこの先も決めることができない。そんな”元”スポーツ選手で世の中は溢れかえる。

世の中のパラダイムが変わってしまった

20年前までは元気よく返事してお酒をたくさん飲んで会社の上司や先輩に逆らわなければ「体育会系はいいね!」などともてはやされ普通の給料をもらえて生きていけたのかもしれないが、今はそう言う時代ではなくなった。

アイディアを出せとかイノベーションを起こせと言われたって、もともとそんな風に育てられていないから、大きな声で「はい!」と返事すること以外にできません!では食べていくことはできないのである。

「あいつは体育会系だから」は今では蔑称にすらなりつつある。

次の時代の人材を作る指導者っているの?

じゃあ本当にスポーツを通して人材育成できる指導者っているの?と言う問いに、微力ながら挑戦しているヤツが岡山にいる。

彼は「学校の先生」と言う立場を取らずに、私塾のような形で誰にでも門戸を開きバドミントンを通じて「自分で考える力」を育てようとしている。

バドミントン選手のセカンドキャリアが医者や学者、弁護士、経営者、発明家ならば、バドミントン界からは「あいつは違う世界のやつだ」と言われてしまうそうだが、彼はそう言う人材を育てたいそうだ。

運動をすると学業成績が伸びる

バドミントンをより理論的に教えると、そう言う子供が育つんだ、と彼は言う。「なんでわからないんだ!」と怒鳴るよりも物理の法則を使って子供にもわかるように教えると、子供はたちまち理解し同じミスをしなくなると言う。しかも試合中に自分で工夫してプレーを変えていけるそうだ。

バドミントンという競技への理解を深める思考がだんだんと身につけていくと、不思議なことに勉強の成績も伸びていくそうだ。現に彼の教え子はほとんど全員の成績がアップしてるという。

だから彼の進路指導も実に自由だ。将来の夢をバドミントンの選手に限定しない。医者になりたい、会計士になりたい、看護師になりたい、Youtuberになりたい、といろんな夢に向かってどうアプローチすればいいのかを自分で考えるアシストをしているのだ。

ベースの能力を伸ばす

オリンピック選手は身体能力とセンス、そして運がないとなれないが、それのベースにあるものが「自分で考えて向上する力」だという。

それを論理的に教えている彼からは将来本当にオリンピック選手が出るかもしれないし、それこそが「スカウター」ではなく「指導者」と呼べるのかもしれない。

「目先の勝ち負けより、結果に対してどういう思考で次の行動ができるかの方が大事なんだ。結果はただの事象だからね。」

「日本一の選手を育てるよりも、バドミントンが強い医者とかバドミントンが強い東大教授を育てた方がバドミントン界のためになるでしょ。」

「だって親はバドミントンをやれば頭が良くなるって思ったらバドミントンをやらせたがるもん。競技人口を増やす一番いい方法はバドミントンをやると頭が良くなるっていう状況を作ることなんだよ。」

まだまだ無名の「指導者」ではあるが、いつか彼のやり方がバドミントン界のスタンダードになる日が来ることを楽しみにしている。

無名の指導者 : 中尾祐介 https://twitter.com/chuchu3103



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