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ベーコンの、うらばなし

今年も最後のベーコンの販売を無事終えて
ホッと息つく暇もなく、お歳暮を考える季節に来てしまった。

今回製造にあたって少し考えることがあったので書き残しておこうと思う。
これを読んでくださるお客様には改めてご購入並びに平素よりのご愛顧に心から感謝です。いつも本当にありがとうございます。

ベーコンは私が以前研修させていただいた工場で丁寧に整形、塩の擦り込み、直火式の蚊までじっくりと加熱燻製して作られる。詳しいことはこっち

お世話になった方々とお仕事で繋がれていることは今でも嬉しいしありがたい。
ふとしたときの電話のやりとりもなんだか暖かい。

私の非常に面倒なお願いも「え〜?(ニヤッ)」と嫌な顔をしながら聞き入れて頂いているから頭は上がらない。

今まで何度も「いついつ発売します!」とお知らせをしながら試行錯誤してきた。
希望のものを取り揃えられたら、と思い
総量を確認して出来上がりの前日に販売して、翌日にスライスをいくつ、厚切りをいくつ、と伝えるやり方なども試した。

ただ、やっぱり「欲しい」と思ってから1日でも早く届けたくて
現在は先にどのカットをいくつ、と作って届く前日に販売している。

私の注文は、おそらく眉を顰める面倒さである。たまにため息をつかれる。

端っこの部分は贅沢に切り落としに入れてください、だの
グラム数があーだのミリ数がこうだの、、

なんせ、肉は一枚一枚違うし、切ればきっただけの表情がある。
片端は厚みがあって、もう片端は薄い。

脂はどう噛んでいるのか、私としてはそれも又面白味というか醍醐味というか。
一興ではあるけど
売り物としては「一興」では終われない。

少し話はそれるが、この季節の変わり目は素直に言えば
豚肉の仕上がりにブレが出る。やはり生き物だから、仕方ないといえば仕方ないのだけど、あくまで私としては悔しい思いの時期である。

ベーコンの仕上がりを伺う会話の中で
「脂の噛み具合、どうです?」と尋ねると先方が言葉に詰まった。

「そうですね、、ほぼ脂ってのもありそうですね、、」
と、こう正直に伝えてくださる関係性はありがたい。ひとまず予定の製造数だけ伝えて、実際カットするときに連絡をくださるよう伝えた。

翌日になって、話をすると
バラ二枚ほどはほぼ脂だと伝えられた。念のため中を割ってもらっても同じということだった。
それなりに量は頼んでいるから仕方ないのだけど、、

これを商品にしないこと、これを商品にすること
どうすべきか?と。
「商品にするには難しい」と判断して
諦めることにした。切り落としにも使わなかった。迷いも後悔もない。反省はある。自分たちで使うなり、工場の方に、という形にした。

「飲める脂」のベーコンとしては脂が旨いということで喜んでいただいているから矛盾しているようだけど。。
想像するベーコンじゃない、というのは話が違うから。

ただでさえ、いつも置いているわけでもなし、価格だって高い。
「クレカとスマホ持って正座して待ってる!」と言ってくださる人がいて
不便な中で愛してもらえることは稀有という以外にはない。

だからこそだよなぁ、
見えない約束ほど難しいものもないよな、としみじみ感じた。

ただ、ガッカリされるとしてもフルパワーでなら諦めがつく。
「どんな人に届いているかを知っている」とか、そういう要素が何をやるべきでないかを教えてくれるブレーキになる。

元々、ベーコンなどは保存料を使わないため日持ちが2週間ほどしかないとか
在庫をしっかり売り切りたい、「余り」というものを作りたくない、全て求めてもらえて喜ばれる形で届けたいとか、という私のエゴ
そういう事情と私情を練った末の販売方法である。

それでも作ったのは紛れもなく世の中で認められる、愛されるものだと思うからで
素材だって、製法だって、効率や生産性を超えた浪漫があると思うからで
少しずつ、その味を愛してくださる方が増えてきた今、
世に数多ある食材の中のたった一つだけどを取り組む熱意とか紙一重のこだわりとか少しのバカバカしさを大事にしようなどと思うものである。

余談

以前友人と話してて、
「早く売り切れて欲しいのはお前の都合だぞ」という言葉にハッとした。
いつの間にか早く売り切れることを無意識に望んでしまっていたなと深く反省した。素敵な言葉で刺してくれた。
勿論、余りを出したくない思いは変わらないのだけど。。
すぐ売り切れることに萎えることは私にもあった、それ故に手が遠のくこともあった。
こういうものだ、気づかぬうちに自己都合が視界を塞ぐ。バカだなぁ。
消費期限とすり合わせながら、できる限り望んでくださる方々に届く形を考えていきたい、という反省文。


執筆後記

Twitterは好きだけど、今の世の中頭にあることをタラタラと篩を通さず垂れ流してしまっては誰かを傷つけかねない。少し難しさを感じる。

誰も傷つけない発信はないだろうけど

でも、人間煩悩なんてたくさんあって、悪態もつきたくなる時もあるだろう
元々、私は思慮の浅い人間だし感情的な人間で、口をついて出てしまった言葉で人を傷つけてしまうことが多かったと思う。

飲み会の帰りは一人で頭と肝を冷やす反省会が脳内で交わされる。
「言わなきゃよかった」がやたらと多い。

だから、じっくりと推敲を重ねて角を削る時間や手間が必要で
きっと文章を書く方が性に合っているんだと思う。

誰かに聞かせよう、というよりは素直に思ったことを書き連ねる
自分の思考を振り返り、ある程度束にしておいておくことが今は必要な気がする。

ということでできる限りまろやかな自分になれるよう、こうして色んな感じたことを残していけたら良いな、と日記、雑記をしたためてみることにした。

ちょっと、いいコーヒーが好きです