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夢の中の雨

昨日から降り続ける雨は
一向に止む気配が無く
兎にも角にも降り続けている

止まない雨は
アスファルトを濡らし
屋根を叩き
銀杏を落とし
寒気を連れて
蒔いた種を流す

そんな雨の日は
一日中部屋の灯りをひとつも灯さず
朝起きてから夜眠るまで
ひたすらに詩集を捲りゆく

途中栞を挟んで
レースカーテンを開けて窓の外を眺めたりして
アーモンドナッツやクルミを食べたりして
深煎りの苦い珈琲を濃く淹れて啜ったりして
砂時計の砂が落ちるのを最初から最後まで観察したりして
地球儀を回して未だ聞いたことのない国名をひとつ覚えたりして
詩を何度も繰り返し読み味わう

最後の一編を読み終える直前で目を覚ます
全部夢だった
全部夢の中のことだった

起き上がった勢いのまま
窓を開けて思い切り息を吸うと
湿った土の匂いが一気に鼻から肺まで届く

ベランダに生えた雑草は気持ちよさそうに滴を纏い朝陽に照らされ煌めいている

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