アスファルト

濁った灰色の雲が生温い雨を降らし
微風が濡れたアスファルトの匂いを纏い
暗い街を流れる

傘も差さずに
アスファルトのひび割れから顔を覗く
名の知らぬ草をただ一転見つめる

記憶を辿って
駅前の信号の青や
滅多に使わないボールペンの青や
埃を被って学習机に置かれたままの地球儀の青を
見ても空の青さを思い出せない

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