詩 「漂う」

夜風の追いかけっこ
捨てられた空き缶や
道端に咲く紫陽花や
野良猫の背中の毛が
同じ速さで揺れる

ポケットに入れた手が
少しずつ温度を持って
一歩歩む毎に歩幅が広がる

見上げれば
輪郭のぼやけた月明かり
暗闇を
初夏の匂いが漂い流れる

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