昼寝
消化活動に勤しむ胃腸を労わるように
炬燵に目一杯足を伸ばして横たわる
足の爪から指
指から足の甲
甲から足首
足首から脛と脹脛へ
順序正しく血管を通り熱が巡る
熱の重みに耐え切れず瞼が落ちて
カーテンの隙間から垣間見えていた
晩冬の庭先の景色が途切れる
記憶の断片が糸で繋がるも
瞬く間に糸が切れて剥がれる
靄のかかった空に浮かぶ雲の上に
一輪の霞草が凛と佇む
自分の耳にも聞こえない声で
ひと言唱える
何を唱えたかは覚えていないのに
確かに唱えたことだけは覚えている
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