虚像

半分に割れた月が
ビルとビルの間を
彷徨う

ビルの窓に映る
月明かりは
実際のそれより
明瞭で鮮明で
何より魅惑的で

月光の虚像を見つめていると
珈琲に溶ける砂糖の様に
ビル街の路地で
見上げた夜空に
ゆっくり溶けていくよう

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