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棚の前

ショッピングモールの六階、
大型書店の隅、
俳句と詩と古典の棚を彷徨く。

書店に隣接するゲームセンターから、
賑やかで華やかで騒がしい気が書店に傾れ込む。

気が心に触れて強く激しく痛ましく揺さ振る。

無意識のうち倒れそうになりながらなんとかリルケの詩集を手に取り、書を開く。
言葉を舌に乗せて咀嚼し飲み込む。
喉から食道、血管、胃腸へ届くのが分かる。

正気を取り戻した心が身体を支え、棚の前に直立する。

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