ずっと探していた花

冬が寒ければ寒いほど
夜が更ければ更けるほど
闇が深ければ深いほど
人と人とが
混ざり合い
重なり合い
交じり合う
都会の冬夜

ほんの一瞬
振り返れば一瞬だったはずなのに
その時は永遠だと思い込んでしまった
その一瞬

あるはずの物事がなく
何もかもがない
そんな一瞬が訪れた

朝の澄んだ空を飛ぶ様に
暗く深い海を沈む様に
一瞬を全身で受容した

永遠みたいな一瞬から覚めて
足元を見れば
ずっと探していた花が咲いていた

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