春と待ち合わせ

春と待ち合わせ

冷めたお風呂くらいの生温い南風に背中を押され
濡れたアスファルトの臭いが溢れる小道を歩いてゆく

朧げな月明かりが雲の向こうでゆらゆら揺れ
幾つかの春の思い出が消えては蘇りまた消える

未だ蕾も付かない小さな桜の木の下で
一冊の詩集を唱えるようにゆっくり読む

春が来るまでの間

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