詩 「ケーキ」

閉店間際のケーキ屋で
売れ残りそうなショートケーキを
ふたつ買うと
幼顔の店員さんが晴れやかに笑った

お店を出て
一直線に伸びる帰路は
アスファルトと入道雲の
灰色で塗れていた

家に近づくにつれて強まる雨
ケーキ箱の上に小さな折り畳みをさして
ずぶ濡れになって帰った日のことを
傘を忘れて雨に打たれた時に思い出す

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