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嫌な自分

自分の裏側に宿るもうひとりの
嫌な自分のことを知っている

彼は
自分が弱っている時や
自分が疲れている時や
自分が楽しくない時に
自分に代わって自分になり変わる

嫌な自分が自分になり変わる時
自分は自分の裏側で脳天から足先まで
青い炎に燃やされるように全身が熱を帯びる

今日もまた彼は自分になり変わる
身体はあつくてあつくてとてもあつくて
内臓まで燃え盛りほとんど灰になったようで
うまく呼吸ができない

なんとか出口を見つけて
火事場から外へ這い出る

ひんやり冷たい秋の夜風に吹かれて
自分が自分を取り戻したことと
嫌な自分が裏側で眠っていることに
気づいて星ひとつない夜空の下を歩く

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