街を歩く

魚が潮の流れに乗って泳ぐように
わたしは坦々と街を歩く

視界の右上の方で
まんまるふくよかな満月が
子どもの帰りを待つ母のように
じっと佇む

風が吹いて雲が流れる
雲が流れて月が隠れる
月が隠れて夜が静まる

前を歩く黒い影の歩幅はいつもより狭い

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